【解説】高齢になったらここに気をつけよう【猫編】
2026/03/23
流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。
流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森-です。
今回は高齢猫で気をつけることについて解説します。
犬編はこちら
どこからが高齢?
猫の平均寿命は14.4~14.6歳とされています。歳のとり方は最初の1年で人間換算の20歳、それから毎年4~5歳ずつ年齢を重ねるような形です。
高齢とされるのは猫は10歳からと言われています。
実際にもアニコムの家庭どうぶつ白書2025によると10歳前後から病気が多くなるためか年間診療費が増えているようです。
診療費用をみると、8~9歳あたりからぐっと費用が上がってきているようなので、シニアは10歳からでもその少し前の8歳頃から病気に注意する必要がありそうです。
どんな病気が増える?
家庭どうぶつ白書の年間請求割合を見てみると、9歳以下ではでてこなかった病気として甲状腺機能亢進症、糖尿病、便秘が上位に上がってきます。
他に一般的に高齢期で増える病気としては慢性腎臓病、変形性関節症、腫瘍が挙げられます。
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモン(T4)が過剰に分泌されることで代謝が活発化し、様々な弊害が出る内分泌疾患です。
削痩、高血圧、頻脈、過剰な活動性、怒りっぽくなる、多飲多尿、嘔吐・下痢などの症状が出ます。
甲状腺機能亢進症については次の記事をご覧ください。
【解説】シニア猫なのに活動的!よく食べるのに痩せてきた?猫の甲状腺機能亢進症について
糖尿病
血糖値を下げるホルモンであるインスリンが分泌されない、もしくは効きづらいことにより発症する内分泌疾患です。猫ではインスリン抵抗性(効きづらい)タイプが多くを占めます。
インスリンが効かないと血糖値が上がり、尿糖が出るようになり、尿糖に水分が引っ張られる形で尿量が増加します。尿量が増えると喉が渇くため多飲となります。また細胞内にエネルギー源である糖分を取り込めないため、痩せてきます。身体は他のエネルギー源を求めてケトン体を作り、ケトアシドーシスになると命に関わる状態になることも少なくありません。
糖尿病については次の記事をご覧ください。
【解説】人もペットもかかると一生治療!犬と猫の糖尿病について
便秘
大腸の動きが悪い、便が硬い、排便痛がある、骨盤の異常などで便秘になることがあります。
高齢の猫で多い腎臓病、甲状腺機能亢進症、糖尿病などでも多尿となるため、飲水量が足りないと脱水となり便秘の一因になります。
犬猫では明確な便秘の基準はありません。人医療の診断基準を参考に、「便が硬い・乾燥している」、「排便頻度が少ない」、「排便時のいきみ・しぶりなど排便困難な様子」があれば便秘として診断します。
便秘については次の記事をご覧ください。
【解説】愛猫のウンチ、出しにくくない?硬くない?便秘について
慢性腎臓病
慢性腎臓病は「3ヶ月以上にわたって片方または両方の腎臓に構造上・機能上の異常がある状態」を指します。高齢の猫ではよくみる病気で、10歳以上の猫の30~40%、15歳以上の猫の80%が罹患していると報告されています。
尿量が増加して脱水しやすくなることと、老廃物を体外に捨てられなくなり体に溜まること(尿毒症)で、元気・食欲の低下、嘔吐を引き起こします。他にも高血圧、貧血、低タンパク質血症などの原因にもなります。
一度障害を受けた腎臓はもとに戻らないため、早期発見、早期治療をして悪化させないようにすることが大切です。
慢性腎臓病については次の記事をご覧下さい。
【解説】尿が多い?飲水量が多い?元気も食欲もない…慢性腎臓病について
変形性関節症
四肢の骨関節炎と、変形性脊椎症を併せて変形性関節症といいます。
罹患率は非常に高く、欧米では6歳以上の61%に、14歳以上の82%に変形性関節症を認めたと報告されています。国内での報告は少ないですが、10歳以上の62%に変形性関節症を認めたという報告もあります。
関節の軟骨が擦り減り、関節炎や関節痛が見られます。痛みが出るため、運動量が減り寝ている時間が多くなります。またジャンプの高さが低くなったり、ジャンプ前に躊躇したり、階段の昇り降りをしなくなったり、爪とぎをしなくなったりします。
変形性関節症については次の記事をご覧ください。
腫瘍
人と同じく高齢になるほど腫瘍の発生率は上昇します。
症状は腫瘍がどこにどんなものができたかで大きく変化しますが、以下のようなものでは考えていく必要があります。
- 痩せてきた
- しこりができた
- 元気、食欲が低下してきた
- 嘔吐、下痢が増えた
どんな症状に気をつける?
これらの代表的な疾患を考慮すると次のような症状があれば一度動物病院を受診することをおすすめします。
- 飲水量が増えた。
- 排尿量が増えた、尿が薄くなった。
- 疲れやすくなった。
- 寝ている時間が増えた。
- ジャンプの高さが低くなった。
- 爪とぎが減った。
- 毛並みが悪くなってきた。
- 痩せてきた。
飲水量に関しては次の記事をご覧ください。明らかな多飲とされる飲水量は体重1kgあたり45ml以上です。(4kgなら180ml以上)
寝ている時間が長くなったり、痩せてきたりは高齢だから仕方がないものと思われがちですが、病気が隠れていることが少なくありません。気になることがあれば動物病院に相談しましょう。早めに対策をすることで、少しでも楽しく過ごさせてあげることができるかもしれません。
また年に1~2回の健康診断を受けることで早期発見しやすくなります。血液検査だけ、尿検査だけでも一助になるのでぜひ健康診断をしましょう。(ただし血液や尿のみですべての病気がわかるわけではないので注意が必要です。)
当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。
高齢猫で気をつけることについて不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。
21動物病院-おおたかの森-
千葉県流山市おおたかの森北2-50-1 GRANDIS 1階
TEL: 04-7157-2105
Web予約: https://wonder-cloud.jp/hospitals/21ah_nagareyama/reservationsonder
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執筆:獣医師 院長 坂本





