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    【解説】ごはんを食べない!歯肉や耳が黄色くなった!猫の肝リピドーシスについて

    2025/08/06

    流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。

    流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森-です。

     

    今回は、猫の肝リピドーシスについて解説します。

     

     

    肝リピドーシスとは

    肝リピドーシスは、脂質代謝の障害により肝臓に脂肪が過剰に沈着し、著しい肝機能障害が生じる病気です。肝臓に脂肪が蓄積する脂肪肝の中でも栄養失調が原因で生じるものを指します。猫で多くみられ、犬よりも重症化しやすいといわれています。進行が早く、数日の飢餓状態でも発症してしまい、進行すると肝硬変を生じて命に関わることがあります。

     

     

    猫の肝リピドーシスの病態

    食事をすると必要な脂肪は摂取され、余分な脂肪はエネルギー源として使われます。しかし、基礎疾患やストレスなどで2~3日食事を摂らなかった場合はエネルギー不足となることから、それを代償するために末梢の脂肪を肝臓へ動員してエネルギーに変換しようとします。猫では、飢餓状態によって脂質代謝に必要なアミノ酸などの栄養素が足りなくなることから、脂肪の処理能力に限界を生じてしまいます。その結果、変換できなかった脂肪が肝細胞内に蓄積し、肝障害や黄疸が現れるようになります。

     

     

    猫の肝リピドーシスの原因

    詳細な発症メカニズムはわかっていませんが、原因として次のようなものが考えられています。

    • 肥満
    • 基礎疾患(糖尿病、膵炎、甲状腺機能亢進症、慢性腸炎、心筋症、悪性腫瘍など)
    • 環境の変化(多頭飼育、引っ越し、来客、入院など)によるストレス
    • 栄養バランスの取れていない食事内容
    • 突然の絶食(数日)
    • 食事へのこだわり
    • 急激なダイエット
    • 神経質・臆病な性格
    • 高齢(7歳以上) など

     

    肥満傾向のある猫では、わずかな絶食でも脂肪動員が過剰となってしまうため、肝リピドーシスを発症しやすい傾向があります。

     

    糖尿病、膵炎、甲状腺機能亢進症、慢性腸炎、心筋症、悪性腫瘍についてのブログ記事はこちらからご覧ください。

    【解説】人もペットもかかると一生治療!犬と猫の糖尿病について

    【解説】膵炎ってどんな病気?

    【解説】シニア猫なのに活動的!よく食べるのに痩せてきた?猫の甲状腺機能亢進症について

    【解説】ずっと続く嘔吐、下痢。それって慢性腸症?

    【解説】猫の肥大型心筋症

    【解説】ウイルス感染がきっかけ?!猫のリンパ腫について  

     

     

    猫の肝リピドーシスの症状

    肝リピドーシスの症状は、次のようなものがあります。

    • 食欲不振
    • 嘔吐・下痢
    • 体重減少
    • 元気消失
    • 脱水 など

     

    進行すると、肝臓にさらに脂肪が沈着して悪化していきます。肝硬変や肝性脳症になると、命に関わることが多いです。

    • 食欲廃絶(48時間以上)
    • 急激な体重減少
    • よだれが出る
    • 無気力
    • 黄疸(白目や歯茎、耳が黄色くなる)
    • 肝硬変
    • 神経症状(肝性脳症
    • 死亡(多くは発症後7日程度) など

     

     

    猫の肝リピドーシスの検査

    肝リピドーシスと診断するため、次の検査を行います。

    • 問診:既往歴や症状を確認します。
    • 血液検査:肝酵素(ALP、ALT、ASTなど)やビリルビンの上昇などを確認します。
    • 超音波検査(エコー検査):肝臓の腫れや脂肪沈着などを確認します。
    • 画像検査:レントゲン検査にて、肝臓を含めた臓器の異常を確認します。
    • 生検:針生検(細胞診)や肝生検(組織診)を行って病理学的に診断します。確定診断には肝生検の方が適していますが、鎮静や麻酔のリスクを考慮し、特に初期は針生検を行います。

     

     

    猫の肝リピドーシスの治療

    肝リピドーシスの主体となる治療は、強制的な栄養補給です。回復までは、数週間から数か月ほどかかります。治療を成功させるためには、給餌や通院などご家族の協力が必要です。初期に治療ができれば、予後は良好とされています。

     

    栄養補給

    バランスのとれた十分な食事量を与え、摂取カロリーを増加させることを目標にします。栄養補助食品を利用することもあります。食べられないとさらに悪化するため、自力で食べられない場合は、鼻カテーテル、食道チューブ、胃瘻チューブを介して強制給餌を行います。給餌内容は、高タンパクでアミノ酸やビタミン類を含むものを流動食で与えます。リフィーディング症候群のリスクや重度の場合は嘔吐がみられるため、給餌は少量頻回で行います。チューブの設置には麻酔が必要な場合があり、また、チューブの太さによっては液体状の流動食しか与えられないことがあります。

     

    リフィーディング症候群とは

    慢性的な栄養失調状態から急激に栄養補給をした際に起こる代謝性の合併症です。急激に栄養補給されると、急激な糖負荷によりインスリン分泌が過剰分泌し、カリウムやリン、マグネシウムなどのミネラルが細胞に取り込まれて血中濃度が低下するため、不整脈や心不全、呼吸不全やけいれんなどが発生して重症化することがあります。これを予防するために初期の栄養補給は少量ずつ行い、こまめに血液検査を行ってモニタリングをします。

     

    輸液

    脱水や電解質の異常を補正するため、補液を行います。

     

    薬物療法

    症状に応じて、肝保護薬、抗酸化サプリメント、制吐剤や食欲増進剤、抗生剤などを使用します。

     

    基礎疾患の治療

    基礎疾患を治療することで、食欲の回復がみられた場合は肝臓への負担も軽減されます。また、肥満は肝リピドーシスのきっかけになるため、獣医師の指導の下で安全にダイエットを取り組むようにしましょう。

     

     

    猫の肝リピドーシスの予防

    猫の肝リピドーシスを予防するためには、適切な食事管理が重要です。一日に必要な栄養バランスと必要な摂取カロリーを考えて、必要摂取量をきちんと食べているかを観察するようにしましょう。

    • 栄養バランスのとれた食事管理を行いましょう
    • 毎日、きちんと食べているか、水を飲んでいるかを確認しましょう
    • 肥満にならないよう適正体重を維持しましょう
    • 急激なダイエットを避けましょう
    • ストレスの少ない生活環境を作りましょう。
    • 早期に発見できれば早く治療できて予後もよいため、定期的に健康診断を受診しましょう。

     

     

    さいごに

    猫の肝リピドーシスは、高年齢の猫がかかりやすい肝臓の病気です。ストレスや肥満、環境の変化が大きなリスクとなって食欲不振につながり、肝リピドーシスを発症しやすくなります。進行すると短期間で肝硬変になり、多くは命に関わります。早く発見できれば初期治療ができ、完治することができる病気です。愛猫の健康を保つため、定期的な健康診断を受診し、毎日の食事量や食欲の状態を観察するようにしましょう。もし食欲の低下が数日続くようであれば、すぐに動物病院を受診してください。

     

    肝臓・胆嚢の疾患についてのブログ記事はこちらからご覧ください。

    【解説】胆嚢粘液嚢腫について

    【解説】症状が出にくい!いわゆる脂肪肝!犬の空胞性肝障害について

     

     


    当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。

    猫の肝リピドーシスについて不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。

     

    21動物病院-おおたかの森-

    千葉県流山市おおたかの森北2-50-1 GRANDIS 1階

    TEL: 04-7157-2105

    Web予約: https://wonder-cloud.jp/hospitals/21ah_nagareyama/reservationsonder

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    執筆:獣医師 一色

    監修:獣医師 院長 坂本