【解説】目が白くなった!モノにぶつかるようになった!犬と猫の白内障について
2025/05/30
流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。
流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森-です。
今回は、犬と猫の白内障について解説します。
白内障とは
白内障は眼の病気の一つで、眼球の中でレンズの役割をする水晶体が様々な原因でタンパク変性が起こり白濁した疾患です。水晶体が白濁すると、光や色を感知する網膜に十分な情報が届かないため視覚が低下します。さらに、ぶどう膜炎、緑内障、水晶体脱臼など様々な合併症を引き起こすことがあり、進行すれば失明します。

白内障に似た症状に「核硬化症」があります。この解説については、こちらからご覧ください。
白内障の主な症状
次のような症状が出ていれば、白内障になっている可能性があります。
- 目が白くなる
- まぶしそうにする
- 物にぶつかる
- 食事などを見つけられない
- 活動が低下する
- 臆病になる

白内障が起こる原因
白内障が起こる原因について、いくつか考えられています。老齢に限らず、若齢でも発症することがあり、発症原因は様々ですが全ての動物に発症する可能性があります。原因は、先天性白内障と後天性白内障に大別されます。
先天性白内障
生後直後、あるいは若齢から水晶体が白濁している状態です。原因として、発生過程での異常や感染が考えられています。このうち遺伝性白内障は、最も多い原因とされています。
遺伝性白内障
白内障になりやすい犬種は、アメリカン・コッカー・スパニエル、トイプードル、ビーグル、柴犬、キャバリア、マルチーズ、シーズー、ヨークシャー・テリア、チワワなどです。これらの好発犬種は若齢でも発症することがあり、発症すると早く重症化してしまう傾向にあります。特にアメリカン・コッカー・スパニエルは、白内障だけでなく緑内障の好発犬種でもあるため、白内障手術後に緑内障を併発する可能性があります。
猫では、ペルシャ系で多く発症する傾向があります。
後天性白内障
加齢だけでなく多くの原因によっても白内障になります。
加齢性白内障
加齢以外に他の疾患や原因がない白内障です。穏やかに進行していきます。だいたい6歳以上の犬で発症します。猫では少ないです。
代謝性白内障
糖尿病、クッシング症候群、甲状腺機能低下症などによっても白内障になることがあります。糖尿病性白内障の要因はいくつかあり、その一つとして高血糖によって水晶体内のタンパク質の糖化が起こり、変性することで透明性を低下させて、白内障を引き起こすと考えられています。糖尿病にかかると、犬では白内障をほぼ発症しますが、猫はまれです。猫は、代謝系のメカニズムが犬と異なるため発症しにくいか、発症しても進行が遅いです。
外傷性白内障
他の犬や猫との咬傷、ケガや物理的な刺激によっても発症することがあります。
薬物性白内障
低血糖治療薬のジアジキシド、皮膚真菌症治療薬のケトコナゾールなどによって発症するリスクがあります。放射線治療の副作用でもおこることがあります。
栄養性白内障
アルギニンの欠乏によっても発症することがあります。子猫でみられることがあります。
続発性白内障
ぶどう膜炎、水晶体脱臼、緑内障、進行性網膜萎縮など他の眼疾患から続発して、白内障を発症することがあります。
糖尿病、ぶどう膜炎、緑内障、甲状腺機能低下症、クッシング症候群についてのブログ記事は、こちらをご覧ください。
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白内障の進行ステージ
白内障では、混濁のレベルにより4つに分類されます。
初発白内障
白内障の初期にあたります。水晶体の白濁は、全体の10~15%程度です。視力への影響はそれほどないため気づきにくいですが、スリットランプ(細隙灯)検査で判明します。
未熟白内障
視覚はありますが、初発白内障よりも白濁は進行しています。白濁は、水晶体全域の15%以上の範囲です。白濁の部位によっては視力に影響が出る場合がありますが、日常生活でほとんど異常がみられません。
成熟白内障
水晶体の全域に白濁がみられます。スリットランプ(細隙灯)検査をしなくても白濁がわかるレベルです。視力が失われているため、物にぶつかるようになります。飼い主が気付くのは多くはこの段階になってからです。ただ、片眼だけの発症の場合はぶつかることはほとんどありません。外科手術の適応ステージです。
過熟白内障
水晶体は、白濁が強くなって変性、萎縮、硬化、縮小などの状態になっています。多くの場合、ぶどう膜炎を併発しています。
白内障の検査と診断
初期の白内障は、気づくことが難しいため、定期的な健康診断を利用して検査をすることが大切です。特に若齢での発症は進行が早いため、早期発見が進行を遅らせるカギになります。
犬での白内障は、ぶどう膜炎や緑内障の原因になることが多いため、それらに移行しないように定期的な検査が必要になります。
まず、問診、身体検査、血液検査などで全身状態を確認します。また、眼科検査にて、涙液検査、眼圧検査、細隙灯(スリットランプ)検査等を実施し、眼の状態を評価し、白内障以外の眼疾患や全身疾患がないかを確認します。
手術が必要と診断された場合は、白内障手術が可能かどうかを判断するために超音波検査や網膜電位図(ERG)検査も実施します。これらの検査は、専門的な知識と技術、医療設備が必要なため、実施できる動物病院は限られます。
超音波検査
水晶体や硝子体の状態や、網膜剥離の有無など眼球の中の構造を確認します。
網膜電位図(ERG)検査
網膜に異常がないかを評価し、術後に視力が回復できるかを確認します。
白内障の治療
治療は、内科療法と外科療法があります。
内科療法
目薬や内服薬で治療していきます。初発白内障、未熟白内障の段階や手術ができない場合に内科療法が選択されます。初期には進行を遅らせることはできることはありますが、視力は回復できません。
また、治療をしないと必ず合併症にかかるので、合併症予防が治療目的になります。白内障の合併症には、水晶体起因性ぶどう膜炎、水晶体脱臼、網膜剥離、続発性緑内障などがあり、中でも水晶体起因性ブドウ膜炎の合併が多くあります。
外科療法
白濁した水晶体を外科的に摘出して、人工の眼内レンズを挿入する手術です。視力を取り戻せる唯一の方法です。この手術を受けることによって視力が回復し、合併症の発症リスクが低下します。
手術が成功した後の術後管理が大変重要になります。手術できても合併症を予防するために、毎日の点眼や内服、さらに長期間のエリザベスカラー装着が必要になるため、これらができるかどうかも含めて手術が受けられるかの選択になります。
また、成熟白内障は手術適応ですが、ある程度進行した過熟白内障では、手術をしても水晶体融解性ぶどう膜炎のような合併症が起こる可能性が高くなるため、手術は行われません。白内障の手術は専門的な知識と技術、医療設備が必要なため、実施できる動物病院は限られます。
白内障の予防
白内障を予防できる方法はありません。ただ、定期的な健康診断を受けて早期に発見できれば、進行を食い止めることができる可能性が高まります。基礎疾患を治したり、生活を見直すことでも予防ができることがあります。サプリメントを服用したり、予防的な点眼薬を使用したり、紫外線を避けるような方法もあります。
物や壁にぶつかるようになったり歩くのを怖がるようになったりと、視力が悪くなったと思われる行動がみられたら、白内障の疑いがありますので、早めに受診してください。
白内障と診断されたら
犬や猫が白内障と診断されたときに、普段の生活で気を付けたいポイントがあります。
- ケガや事故を防ぐため、家具などの配置は変えないようにしましょう。
- 声をかけたり、わざと物音を立てたりと、存在や位置を知らせるようにしてあげましょう。
- 体を支えたり、リードなどで誘導したりすることもケガの防止につながります。
犬の視力は、0.1~0.2程度といわれています。犬種によっても見え方が様々なようですが、もともと嗅覚(鼻)や聴覚(耳)からの情報に頼っているため、視力に頼らずに生活はできるとされています。
また、猫では、視力は犬と同じぐらいですが、動体視力がとても優れています。
これまで解説してきたように、白内障になると合併症にかかりやすくなるため、日頃から犬や猫の様子を気にするようにしましょう。次のような症状があれば、合併症の可能性がありますのですぐに来院するようにしてください。
- 目が赤くなる(充血)
- 目をしょぼしょぼさせる(痛がる)
- 目を擦(こす)ったりして気にしている
- 突然目が見えなくなる
- 痛みのため元気や食欲が低下する など
さいごに
白内障は、初期は気づきにくい病気です。見た目はわかりにくくても早期発見できれば、早期治療によって進行を遅らせることができるかもしれません。白内障の進行や緑内障やぶどう膜炎などの合併症を避けるためにも、定期的に眼の検査を受けるようにしましょう。
当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。
犬と猫の白内障について不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。
21動物病院-おおたかの森-
千葉県流山市おおたかの森北2-50-1 GRANDIS 1階
TEL: 04-7157-2105
Web予約: https://wonder-cloud.jp/hospitals/21ah_nagareyama/reservationsonder
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執筆:獣医師 一色
監修:獣医師 院長 坂本




