【解説】唾液でうつる!症状は多様!猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症について
2025/07/25
流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。
流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森-です。
今回は、猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症について解説します。
猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症とは
猫白血病ウイルス感染症は、猫に白血病、リンパ腫、免疫機能の低下や貧血などを起こす病気です。持続感染して発症した猫のほとんどが、3~4年以内に命を落とします。
猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症の原因
猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症は、レトロウイルス科γ(ガンマ)レトロウイルス属の猫白血病ウイルス(Feline Leukemia Virus; FeLV)に感染することによって発症します。猫のみに感染するウイルスです。猫の体外では不安定で、数分から数時間で失活します。太陽光や紫外線、アルコール、洗剤などでウイルスが死滅します。
ウイルスは感染猫の唾液や血液、糞便などに含まれており、主に喧嘩などの咬傷によって感染します。また、グルーミングや食器から感染や、胎盤からも感染することがあります。口から入ったウイルスは、咽頭にあるリンパに侵入し、血液を介して骨髄など全身の様々な臓器に運ばれて悪影響を与えます。

猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症の症状
猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症は、未去勢の雄猫で多くみられ避妊去勢した猫では少ない傾向があります。日本の地域猫での有病率は約4%とされています。また、この感染症は症状の特徴から、進行性感染(持続感染)、退行性感染、感染不成立(不稔感染)、局所感染の4つのタイプがあります。
進行性感染(持続感染)
約30~40%がこのタイプです。4か月齢未満の子猫が感染すると70~100%が持続感染するとされています。成長するに従い、免疫の防御力が高まって持続感染する割合が低くなり、16週齢以降になると10~20%程度まで下がります。
感染初期(急性期)では、ウイルスが血液を介して全身に運ばれ骨髄細胞などで増殖を始めると、発熱、元気消失、全身のリンパ節の腫れ、白血球減少、血小板減少、貧血などの症状があらわれます。この症状は、体内でウイルスを排除しようとする免疫反応から起こるもので、1週間から数か月ほど続きます。
急性期の症状が落ち着いて猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症が治ったようにみえても、感染から4カ月以上経った際にウイルス検査で陽性となれば持続感染と判断されます。このとき実は骨髄細胞ではウイルスが存在していて、感染したままの状態なのです。その後、数ヶ月から数年以内に様々な症状が現れます。ウイルスが骨髄細胞や体内の多くの細胞に感染しているため、免疫系疾患や腫瘍性疾患などを発症します。予後は発症した疾患によって異なりますが、多くは命を落とします。新生猫での感染は、ほとんどが持続感染して死亡します。
持続感染のときにみられる症状としては、次のようなものがあります。
- 元気消失
- 食欲不振
- 体重の減少
- 多飲多尿
- 下痢
- 貧血
- 口内炎
- 皮膚炎
- 慢性鼻炎
- 呼吸が苦しい など
猫白血病ウイルス(FeLV) 関連疾患にはつぎのようなものがあります。
- 白血病などの骨髄の腫瘍性疾患
- リンパ腫などのリンパ系腫瘍疾患
- 再生不良性貧血
- 白血球減少症
- 免疫介在性疾患
- 日和見感染(トキソプラズマ症、クリプトコッカス症、ヘモバルトネラ症など)
- 糸球体腎炎
- 流産・死産、新生子猫の早期死亡 など
退行性感染(潜伏感染)
約10~40%がこのタイプです。感染が成立し、一時的に発熱やリンパ節腫脹などの症状がでますが、免疫機能によりウイルスの機能は抑制され、ウイルスが増殖はしないものの完全に排除しきれていない状態です。これを潜伏感染といい、他の猫への感染はウイルスがDNAに組み込まれるため、抗原検査で陰転してもPCR検査で陽性になることがあります。ストレス状態や免疫機能が低下するとウイルスが排出されることがあり、持続感染に移行する場合があります。また、無症状のまま一生を終える猫もいます。
感染不成立(不稔感染)
約20~30%がこのタイプです。免疫機能に問題がない成猫で多くみられ、ウイルスが体内に入っても自己の免疫防御機能によりウイルスを排除することができます。咽喉頭のリンパ節に限局した感染のため全身症状が見られず、検査でウイルスが検出できません。
局所感染
ウイルスが全身ではなく、脾臓、リンパ節、小腸、乳腺などの局所にとどまるタイプです。発生はまれです。
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猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症の検査
猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症を診断するためには、血液検査でウイルス抗原を検出する検査を行います。ただし、感染してから約4週間でウイルスを検出できるようになります。
陽性判定になった場合、4ヵ月後に再検査して陽性であったときは持続感染が成立していると判断します。その後、身体検査と血液検査を3~4カ月ごとに行って、ウイルス抗原を確認します。症状がなくても潜伏感染の可能性があるため、年に1回はウイルス検査を行いましょう。
猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症の治療
猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症を完全に治療する方法は、残念ながらありません。発症した疾患によって症状が様々であるため、それに合わせた対症療法を行います。抗ウイルス作用や免疫調整作用をもつインターフェロン製剤や、細菌や真菌の感染には、抗生剤や抗真菌剤を投与し、腫瘍性疾患には抗ガン剤の治療、貧血には輸血、免疫機能の低下には免疫抑制剤などを用います。また、栄養バランスのとれた食事や清潔な生活環境を整えることも、身体の状態を保ったり精神なストレスをかけないために大切なことです。
猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症の予防
猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症を予防するための一番効果的な方法は、感染猫との接触を避けることです。
- 多頭飼いの場合、感染猫(感染疑い猫)の唾液からグルーミングや食器の共有などによって感染する恐れがあり、また、多頭飼いによるストレスがあるため、部屋を隔離しましょう。
- 屋外で感染猫に遭遇するのを避けるため、完全室内飼育にしましょう。
- FeLVのワクチン接種も有効です。特に、4カ月未満の猫は感染すると持続感染する可能性が高いとされています。ワクチン接種は、ウイルス検査で陰性と確認してから行います。ワクチンを接種しても感染防御は完全ではないため、毎年接種しましょう。
- ストレス管理をしましょう。ストレスによってステロイドホルモンが分泌され、免疫機能が弱まり感染しやすい状態になります。
- 栄養バランスのよい食事と、衛生的な生活環境で心身ともにストレスのかからないようにすることも大切です。
- 消毒には、石鹸や消毒用エタノール、塩素系漂白剤、洗剤などを用いましょう。
- 定期的な健康診断を受診して、異常がないかを確認しましょう。
- 猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症の検査をしたことがない場合や新しい猫を迎える場合には、検査をして感染していないことを確認しましょう。

さいごに
猫白血病ウイルス(FeLV)感染症は、健康に見えても実は感染していることがあり、発症すれば様々な症状が出て命に関わる病気です。残念ながら効果のある治療法は見つかっていないため、日頃から予防に努めることが大切です。愛猫の健康状態に注意して、気になることがあれば早めに受診してください。
当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。
猫白血病ウイルス(FeLV) 感染症について不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。
21動物病院-おおたかの森-
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執筆:獣医師 一色
監修:獣医師 院長 坂本




