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    【解説】なんとなく元気がない!食欲もない!犬の白血病について

    2025/06/18

    流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。

    流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森-です。

     

    今回は、犬の白血病について解説します。

     

     

    白血病とは

    白血病は、血液のがんのひとつです。骨の中にある骨髄という組織で造血幹細胞がつくられ、赤血球や白血球、血小板に成長(分化)していきます。白血球は顆粒球、単球、リンパ球に分かれ、顆粒球は好中球、好酸球、好塩基球に分化し、リンパ球は主にBリンパ球(B細胞)とTリンパ球(T細胞)に分化します。リンパ球以外の白血球、赤血球、血小板は「骨髄系」、リンパ球は「リンパ系」といいます。その分化過程で、「骨髄系」あるいは「リンパ系」の細胞成分が骨髄で腫瘍化し、増殖する病気を白血病といいます。

     

    白血病とリンパ腫との違い

    血液のがんは造血器に関わるがんで、白血病のほかにリンパ腫も含まれます。がん化する細胞や影響する臓器の違いは、次のようになります。

     

    がん化する細胞がんになる臓器
    白血病白血球・赤血球・血小板のもとになる造血幹細胞骨髄や血液
    リンパ腫リンパ球(B細胞やT細胞)リンパ節や脾臓など

     

    両疾患とも症状が体調不良や風邪などとの区別がつきにくいため、鑑別が重要になってきます。犬はリンパ腫と比べて白血病は発症が少ないとされていますが、発症すると残念ながら完治が難しい病気です。猫では、犬よりもさらに発症がまれです。

     

    犬や猫のリンパ腫に関する過去のブログ記事は、こちらからご覧ください。

    【解説】首や膝裏が腫れてる!犬のリンパ腫について

    【解説】ウイルス感染がきっかけ?!猫のリンパ腫について

     

     

    犬の白血病の原因

    白血病の原因は、今のところははっきりしていません。ただ、遺伝子の異常によって発症しやすいと考えられています。たばこやなどの有害物質、放射腺などは遺伝子を傷つける可能性があるため、発症リスクを高めるとみられています。

     

    好発犬種として、ジャーマンシェパード、ゴールデンレトリバー、ケアーンテリア、シーズー、ジャックラッセルテリア、ビションフリーゼ、ポメラニアン、ミニチュアダックスフントなどで多く発症がみられますが、どの犬種でも発症する可能性はあります。

     

     

     

    白血病の分類と症状

    白血病は、腫瘍細胞の由来により「骨髄性」と「リンパ性」に大別され、腫瘍細胞の分化の状態によって「急性」と「慢性」に分類されます。主に次の4つに分けられますが、これらは血液検査でたまたま発見することが多く、症状だけでは気づきにくい疾患です。

    • 急性リンパ芽球性白血病(ALL)
    • 急性骨髄性白血病(AML)
    • 慢性リンパ性白血病(CLL)
    • 慢性骨髄性白血病(CML)

     

    急性骨髄性白血病(AML)は、7~8歳での発症が多く、貧血や元気消失など一般的な症状がみられます。慢性骨髄性白血病(CML)は脾臓の腫大以外は無症状のことが多いです。

     

    また、リンパ性白血病は骨髄でリンパ球が腫瘍化する病気で、急性リンパ芽球性白血病(ALL)と慢性リンパ性白血病(CLL)に分けられます。犬ではリンパ性白血病の発症が多いため、もう少し詳しく解説します。

     

    急性リンパ芽球性白血病(ALL)とは

    骨髄でリンパ球の元になるリンパ芽球が、骨髄で急速に増殖した疾患です。この腫瘍化したリンパ芽球が全身を循環し、肝臓や脾臓、腸などに侵入します。また、血液中には未熟細胞を伴った白血球の増加がみられ、もともとつくられる予定であった赤血球や血小板、好中球が減少します。腫瘍化が骨髄全体になると、造血機能が働かなくなってきます。T細胞型とB細胞型があり、犬ではB細胞型が多いとされています。5~6歳以上の犬に多くみられ、若齢犬でも発症することがあります。治療を行っても、数日から数か月と進行がとても速いといわれています。次のような症状が出ることがあります。

    • 元気消失
    • 食欲不振
    • 体重減少
    • 嘔吐・下痢
    • 貧血
    • 発熱
    • リンパ節の腫大
    • あざ(紫斑)ができやすい など

     

    慢性リンパ性白血病(CLL)とは

    成熟リンパ球が腫瘍化した疾患で、ゆっくり進行します。多くは無症状で気づきにくいことがほとんどです。あるいは、症状があるとしても軽度の貧血、食欲低下、嘔吐・下痢、嗜眠などほかの病気でもみられる症状です。突然、急性白血病に転化してしまう場合があります。

    好発犬種としてジャーマンシェパード、ゴールデンレトリバーがあげられ、小型犬でB細胞型が多くみられます。10歳以上の高齢犬で多く、イングリッシュ・ブルドッグでは6歳程度で発症がみられています。

     

     

    犬の白血病の検査

     

    問診、触診

    全身の状態を確認します。全身のリンパ節を触診し、腫れがないかについても確認します。

     

    血液検査

    赤血球や白血球、血小板などの数や濃度を確認します。白血球の増加や貧血、肝酵素の増加や黄疸などがみられることがあります。

     

    骨髄検査

    血液検査で白血病の疑いがあるときに行う検査です。骨に針を刺し、骨髄または骨髄液を採取して、骨髄の中の細胞成分や数、割合を確認し、どのタイプの白血病であるかを診断します。この検査は痛みを伴うため、全身麻酔で行うことがほとんどです。

     

    細胞診

    リンパ節の腫れがある場合は、リンパ腫との鑑別のために細胞診を行うことがあります。

     

    レントゲン検査・超音波検査

    脾臓や肝臓が肥大していないかなどを確認します。

     

    クローナリティー検査

    白血病の治療を進めるにあたり、腫瘍化したものであるかを判断します。腫瘍化している場合、B細胞性かT細胞性か、また、リンパ球が単一に増殖している(モノクローナル増殖)か、複雑に増殖している(ポリクローナル増殖)かについても診断します。

     

     

    犬の白血病の治療

    治療の方法は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)と慢性リンパ球性白血病(CLL)でも異なります。

     

    犬の急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療

    抗がん剤を用いた化学療法が中心となります。抗がん剤の影響により、腫瘍化したリンパ芽球だけでなく他の血球の産生に異常をきたすため、重度な貧血や血小板減少症が生じることが多いです。症状によって、輸液や輸血、好中球減少による二次感染予防のための抗生物質の投与や、緩和療法としてステロイド剤の投与をすることもあります。

    様々な抗がん剤を組み合わせて積極的に治療をしても、進行が早く、残念ながら治療効果が得られないことがほとんどです。

     

    犬の慢性リンパ球性白血病(CLL)の治療

    ゆっくりと進行するため、長期にわたってプレドニゾロンや抗がん剤を使用した治療をします。無症状の場合は、経過観察の場合もあります。貧血や血小板減少がみられる場合は、輸血などをすることがあります。

     

     

    犬の白血病の予防

    残念ながら今のところ予防する方法が見つかっておらず、白血病と特定できる症状もありません。そのため、定期的な血液検査が早期発見に重要になります。

     

     

    さいごに

    犬の白血病はそれほど多くはありませんが、発症すれば命に関わる病気です。急性の場合は発症したら急激に進行することが多く、また、慢性リンパ性白血病(CLL)ではゆっくりした進行や無症状の場合が多くみられます。日頃から様子を観察し、免疫力を上げるような生活を心がけ、気になるようなことがあればすぐ受診するようにしましょう。

     

     

     


    当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。

    犬の白血病について不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。

     

    21動物病院-おおたかの森-

    千葉県流山市おおたかの森北2-50-1 GRANDIS 1階

    TEL: 04-7157-2105

    Web予約: https://wonder-cloud.jp/hospitals/21ah_nagareyama/reservationsonder

    LINE: @092jvjfm

     

    執筆:獣医師 一色

    監修:獣医師 院長 坂本