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    【解説】痒みがとまらない!犬のアトピー性皮膚炎について

    2025/07/05

    流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。

    流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森-です。

     

    今回は、犬に多いアトピー性皮膚炎について解説します。

     

     

    犬のアトピー性皮膚炎とは

    アトピー性皮膚炎は、アレルギーの一つで、皮膚に炎症や痒みが生じる慢性的な皮膚の病気です。犬に多くみられ、遺伝的要因や免疫異常、皮膚のバリア機能低下、環境要因などが複雑に関連して発症します。この病気はアレルギー要因であるアレルゲンからの回避や痒み止めだけでは完全に治すことが難しく、複雑な病態のため様々な方向からの治療が必要になります。

     

    犬アトピー性皮膚炎(canine atopic dermatitis; CAD)は、2024年に「遺伝的素因を有した、痒みを伴うT細胞主体の炎症性皮膚疾患であり、皮膚バリア異常アレルゲン感作細菌叢の乱れ相互作用が関与する」疾患と再定義されました。ここでは新しい定義に基づいて解説していきます。

     

     

    犬アトピー性皮膚炎の症状について

    犬アトピー性皮膚炎(CAD)の症状は左右対称に現れ、主に強い痒みが特徴的です。掻きこわしが悪化すると、色素沈着や苔癬化など様々な皮膚症状が出てきます。

     

    主な症状

    <急性期>

    • 強い痒み
    • 皮膚の発赤
    • 丘疹
    • 皮膚の乾燥やフケ:バリア機能低下による

     

    <慢性期>

    • 色素沈着:皮膚の黒ずみ
    • 苔癬化:皮膚が炎症で硬く厚くなる
    • 脱毛
    • 外耳炎
    • マラセチア皮膚炎や膿皮症:皮膚のバリア機能低下による二次感染

     

    症状が出やすい部位

    • 顔(目の周り、口元)
    • 耳(外耳道も皮膚です!)
    • わきの下
    • 腹部
    • 内股から陰部
    • 足の裏、指趾の間
    • 腰(ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア)

     

     

    犬アトピー性皮膚炎の原因

    犬アトピー性皮膚炎(CAD)は、遺伝的な要因、免疫異常、皮膚バリア機能の低下など様々な原因が複雑に絡まりあって発症します。

     

    遺伝的な要因

    犬アトピー性皮膚炎(CAD)の発症には遺伝的要因があるとされています。好発犬種には、ボクサー、ブルドック、フレンチ・ブルドック、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、柴犬、シーズー、ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、パグ、ミニチュア・ダックスフント、トイ・プードル、ミニチュア・ピンシャーなどがいます。

     

    免疫異常

    白血球の一種であるリンパ球には様々なタイプがあり、中でもTh2型リンパ球がアレルギーに関わっています。Th2リンパ球はサイトカインという生理活性物質を産生して放出し、感覚神経や角化細胞、Bリンパ球、線維芽細胞などに作用して皮膚のバリア機能を低下させたり、痒みや炎症を誘発します。特に、IL-4、IL-13、IL-31の2型サイトカインが、犬アトピー性皮膚炎(CAD)と深いかかわりがあります。

     

    皮膚バリア機能の低下

    皮膚は角質層があり、そこで水分を保持し、外部からの刺激やアレルゲンの侵入を防ぐバリア機能をもっています。しかし、アトピー性皮膚炎の皮膚は、遺伝や環境的な要因によってバリア機能が低下しやすくなり、アレルギー反応が起こりやすくなります。バリア機能が低下すると、細菌やアレルゲンが侵入しやすくなり、皮膚の保湿成分であるセラミドが減少することで保湿機能が低下して、炎症や痒みにつながります。もともとアトピー性皮膚炎になりやすい体質の場合は、一部の皮膚に炎症が起こっていても全身の皮膚が脆弱になっているため全身的なケアが必要になります。

     

    環境要因

    犬アトピー性皮膚炎(CAD)の原因となる環境中に潜むアレルゲンには、次のようなものがあります。主なアレルゲンはダニといわれています。

    • ハウスダストマイト(ダニ)やノミ
    • 花粉(スギ、ブタクサなど)
    • カビ(真菌)
    • マラセチア(酵母、真菌の一部) など

     

    春季や秋季に症状が悪化する場合は・・・

    花粉が原因の可能性があります。

    梅雨時期や夏季に症状が悪化する場合は・・・

    温度や湿度が上がりカビマラセチアノミダニなどの活動が活発になるため、これらが原因の可能性があります。

     

    常在菌叢の乱れ

    皮膚や腸内には常在菌群(マイクロバイオーム)がいてバランスを保って機能していますが、そのバランスが崩れると炎症反応やアレルギー反応が起こりやすくなります。皮膚では、ブドウ球菌やマラセチアの過剰増殖によって、皮膚炎や膿皮症、外耳炎が併発することがあります。また、腸内細菌叢のバランスが崩れて(ディスバイオーシス)、細菌の多様性が低下すると、炎症細胞の抑制機能が効きにくくなり皮膚の炎症反応が起こりやすくなります。

     

    マラセチア皮膚炎、膿皮症、外耳炎についてのブログ記事はこちらからご覧ください。

    【解説】ベタベタ皮膚に多い!赤い!痒い!マラセチア皮膚炎について

    【解説】犬に多い皮膚病!膿皮症について

    【解説】耳が赤い!痒い!汚れが出てくる!外耳炎について

     

     

    犬アトピー性皮膚炎の検査と診断について

    犬アトピー性皮膚炎(CAD)は確定的な診断方法はなく、問診や検査を行い、似たような症状の疾患の除外診断をして、症状や病歴を総合的に評価していきます。

    評価の主な流れは、似たような症状の疾患を除外して、Favrotの診断基準により臨床症状を確認します。さらに、必要に応じてアレルギー検査を実施します。

     

    似たような症状の疾患との鑑別診断

    問診や各皮膚科検査(ウッド灯検査、毛検査、皮膚掻把検査、皮膚細胞診など)、除去食試験などにより、犬アトピー性皮膚炎(CAD)の症状と似ている次の疾患を除外します。

    • ノミによる皮膚炎やアレルギー
    • 疥癬やニキビダニなどの外部寄生虫症
    • 細菌の増殖による表在性膿皮症
    • 酵母の増殖によるマラセチア皮膚炎
    • 食物アレルギー
    • 接触性皮膚炎
    • 皮膚型リンパ腫 など

     

    除去食試験についてのブログ記事はこちらからご覧ください。

    【解説】食物アレルギーのときの除去食試験とは?

     

    Favrotの診断基準

    Favrotにより提唱された犬アトピー性皮膚炎(CAD)の診断基準を使って、症状や経過を確認します。鑑別診断のための検査に時間がかかってしまうときでも、この診断基準で判断する場合があります。上記8項目中5項目を満たす(感度85%、特異度は79%)場合、犬アトピー性皮膚炎(CAD)の可能性が高くなります。

    • 初発年齢が 3 歳未満
    • 主に室内飼育
    • ステロイドに反応する痒み
    • 初発時は皮膚病変がなく痒みのみ
    • 前肢の罹患
    • 耳介の罹患
    • 耳介の辺縁は罹患していない
    • 腰背部側は罹患していない

    ただし、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアは、症状が腰に出やすいのが特徴です。

     

    アレルギー検査

    アレルギー検査は、起こしうる原因(アレルゲン)があるかを確認するときに実施します。治療の参考にするための補助的な検査でもあります。減感作療法を実施する場合は、この検査結果をもとに治療を行います。検査には、血液中のIgE抗体の量を調べる血液検査や、皮膚にアレルゲンの候補物質を注入し皮膚の反応を観察する皮内反応検査があります。このうち皮内反応検査については、抗原の入手が難しく、習熟した技術を要するため、実施している動物病院は限られます(当院では対応しておりません)。

     

     

    犬アトピー性皮膚炎の治療

    犬アトピー性皮膚炎(CAD)は完治が難しいため、治療は症状を抑えて、QOLを向上させることが大きな目的になります。治療方針としては、痒みを抑える炎症を抑える皮膚バリア機能の改善の3つが重要な要素になり、多方面からの治療が必要になります。

     

    薬物療法

    主に、痒みや炎症を抑えるために行います。急性期と慢性期で、使う薬の種類や投薬の間隔が変わります。

     

    急性期の治療

    即効性を重視し、短期間で効果が出やすい薬物を使用して炎症や痒みを抑えます。使用する薬物には、短期間ステロイド、抗ヒスタミン剤、オクラシチニブ(アポキル®)、イルノシチニブ(ゼンレリア™)、ロキベトマム(サイトポイント®)などがあります。

     

    慢性期の治療

    抗炎症性と安全性を重視し、症状を確認しながら、オクラシチニブ(アポキル®)、ロキベトマム(サイトポイント®)、短期間ステロイド、免疫抑制剤シクロスポリンや外用ステロイドや外用タクロリムスなどを使用します。症状が安定しても再燃することがあるため、プロアクティブ療法(予防的治療)で症状をコントロールしながら、アレルゲン回避や皮膚のケアなども併用して再発を予防します。

     

    *アポキル®およびサイトポイント®は、Zoetisおよびゾエティス・ジャパン株式会社またはその関連会社・企業の登録商標です。ゼンレリア™は、Elancoおよびエランコまたはその関連会社の商標です。

     

    スキンケアと保湿

    皮膚のバリア機能を改善し、乾燥を防ぐため、定期的なスキンケア保湿が重要です。刺激が少なく殺菌効果のあるシャンプーや保湿効果の高いシャンプーを使用して、アレルゲンや汚れを除去します。また、皮膚の保湿成分であるセラミドを含んだ保湿剤を使用することで、皮膚の健康を保ちます。

     

    食事療法

    内側からのスキンケアとして、ω(オメガ)-3脂肪酸ビタミンEを含む療法食やサプリメントで、抗炎症作用や血流改善作用、皮膚のバリア機能の強化によって、症状の改善が期待できます。さらに、乳酸菌の一種であるパラカゼイ菌やオリゴ糖の一種であるケストースにより皮膚症状の改善がみられたケースもあり、腸活による効果も注目されています。

    また、アトピー性皮膚炎に食物アレルギーが併発している場合、アレルゲンとなる成分を避けたフードを与えることで、症状が改善されることがあります。

     

     

    犬アトピー性皮膚炎の予防

    犬アトピー性皮膚炎(CAD)に対する予防は、今のところ見つかっておりません。ただ、早期に体調の変化に気づいて治療が進められれば、症状を軽減できる可能性があります。アレルギー検査などで症状を引き起こしている原因が判明した場合は、そのアレルゲンから避ける対策が症状の緩和に有効です。日常でできる対策には、次のような方法があります。

     

    • こまめな部屋の掃除と換気
    • 布団やシーツ、カバーを定期的に洗濯
    • 空気清浄機を使う
    • 帰宅後、アレルゲンや汚れを除去するため、濡れたタオルなどで犬の肢だけでなく全身を拭く(刺激にならない程度) など

     

     

    さいごに

    犬アトピー性皮膚炎(CAD)は症状も様々です。残念ながら、完治は難しいですが、多角的な治療で症状の改善は見込めます。薬物だけではなく、生活環境の改善などの日頃のケアも併用することで、効率的に痒みや炎症が改善できる可能性もあります。早めに治療を始めることができれば、重症化を防ぐことができます。日頃から愛犬の体の変化を観察して、気になることがあれば早めに獣医師にご相談ください。

     

     

     


    当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。

    犬のアトピー性皮膚炎について不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。

     

    21動物病院-おおたかの森-

    千葉県流山市おおたかの森北2-50-1 GRANDIS 1階

    TEL: 04-7157-2105

    Web予約: https://wonder-cloud.jp/hospitals/21ah_nagareyama/reservationsonder

    LINE: @092jvjfm

     

    執筆:獣医師 一色

    監修:獣医師 院長 坂本