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    【解説】犬に多い皮膚病!膿皮症について

    2024/02/26

    流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。

    流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森- 院長の坂本です。

     

    今回は犬に多い皮膚病である、「膿皮症」について解説します。

     

    膿皮症って?

    人ではあまり聞きなれない病気かもしれません。膿(うみ)の皮膚の病気とかいて膿皮症です。

    犬に多い皮膚疾患で、皮膚の細菌感染症を指します。

     

    犬での主な原因菌は皮膚の常在菌であるブドウ球菌です。ただしそれ以外の、例えば緑膿菌や大腸菌が原因となることもあります。

     

    膿皮症を発症する要因は、細菌がもっているだけではなく、犬の皮膚の要因も関係していることがほとんどです。

    どういうことかというと、ブドウ球菌は常在菌なので、普段からずっと皮膚に居るわけです。犬の皮膚のバリア機構が低下することで、皮膚の細菌叢が乱れ、ブドウ球菌が異常に増殖できるようになるのです。

    バリア機構が低下する原因は後ほど記載します。

     

    単に膿皮症といっても、表面性膿皮症、表在性膿皮症、深在性膿皮症がありますが、今回は最も一般的な表在性膿皮症について解説していきます。

    犬が膿皮症になりやすい原因は?

    人間や猫では多くない膿皮症。それは犬の皮膚が細菌が増えやすい環境になっているから。例えば…

     

    表皮が薄い

    毛に覆われていない人間の表皮の厚みは約0.2mm、角化細胞層は10~15層程度

    一方で犬の被毛部の表皮の厚みは0.05~0.1mm、角化細胞層は2~3層

    犬の被毛部の表皮は、人の1/2~1/3しかない。

     

    皮膚のpHが高い

    人の皮膚はpH4~6の弱酸性とされています。犬は6.5~8程度で中性~弱アルカリ性です。

    人間のシャンプーやボディーソープは弱酸性の皮膚に合わせて作ってあるので、犬に使うのはやめましょう。犬には犬用のシャンプーを。

     

    被毛が多い

    これは見てわかる通り、人間は局所と頭部に密に毛がありますが、犬はほぼ全身。お腹や肉球など一部に毛が生えていないところがある程度。

    また犬は一つの毛穴から一次毛(主毛、上毛、オーバーコートなどと言われる)の他にも複数の二次毛(副毛、下毛、アンダーコートなどと言われる)が出ている。

     

    皮膚のターンオーバーが早い

    皮膚は深部から表面に向かって常に新しい細胞へと入れ替わり続けています。この入れ替わりが完了するまでの期間をターンオーバーと言います。

    人間は年齢などによって異なりますが、28~56日とされているそうです。

    犬は22日とかなり短くなっています。

     

    汗腺のほとんどがアポクリン腺

    汗腺にはエクリン汗腺とアポクリン汗腺がある。

    人はほとんどがエクリン汗腺で、体温調節などに関わっている。アポクリン汗腺は脇や陰部などにあり、脂質やタンパク質が多いので細菌による代謝で臭いが出やすい。

    犬はほとんどがアポクリン汗腺で、エクリン汗腺は肉球にあるくらい。アポクリン汗腺は毛根部にあり、毛に付着して分泌される。

    表在性膿皮症の症状は?

    • 膿疱…細菌と炎症細胞によってできた膿が入った袋
    • 表皮小環…膿疱が育ち、破れた後で、環状に広がるフケ
    • 丘疹…ブツブツとした膨らみ
    • 紅斑…発赤のこと
    • 掻痒

    膿皮症を診断するための検査は?

    膿皮症に似た症状の皮膚疾患は様々あります。皮膚糸状菌症や皮膚型リンパ腫、毛包虫症、落葉状天疱瘡などがあり、これらを鑑別するために検査を行う。

     

    • 細胞診…スライドガラスの押捺、テープ法、スワブなどで採材し、菌体や炎症細胞を診る
    • 被毛検査…皮膚糸状菌症や寄生虫を診る
    • 皮膚掻把直接鏡顕検査…表皮を削り取り、寄生虫を診る
    • 細菌培養・薬剤感受性検査…採材したもので菌がいないか培養し、どの抗生剤が有効か確認する。

    表在性膿皮症の治療

    外用薬

    主に消毒薬を使う。クロルヘキシジンやヨードなど。最近は液体だけでなくワイプ剤なども出ている。また消毒薬じゃないスプレー剤なども。

     

    シャンプー療法

    クロルヘキシジンなどの消毒薬を含有した薬用シャンプーを使用する。効果は抗生剤と同等レベル。膿皮症の発症時は1週間に2回のペースでシャンプーする。

    膿皮症が治ったらシャンプーの頻度を落とすか、保湿系のシャンプーなどに変更する。また基礎疾患がある場合はそれに応じたシャンプーにする。

    一般のシャンプーでも薬浴でも、シャンプー後は必ず保湿剤を使いましょう。

     

    薬用シャンプーはいつも通りただシャンプーするだけでは効果がありません。含有している消毒薬を皮膚に浸透させるために、シャンプーとの接触時間を確保する必要があります。

     

    1. 犬をぬるま湯で濡らす。水温は35度前後で。
    2. 汚れがある場合はプレシャンプーを行う。シャンプー剤はいつものものでもOK。
    3. 薬用シャンプーで本シャンプーを行う。シャンプーにもよるが基本的に希釈せず、原液を泡立てて、泡をつけてマッサージする。泡をつける時間は10分以上病変部から泡をつければ接触時間が少しでも長くなる。
    4. すすぎ。しっかりと時間をかけて、シャンプーを残さないように流しましょう。
    5. 保湿。シャンプー時はかけ流しタイプの保湿剤が簡単。
    6. タオルドライ and/or ドライヤーで乾かす。ドライヤーは当て続けて皮膚を熱くしないこと。

     

    抗生剤

    出来る限り薬剤感受性検査の結果に従ったものを使用する。

    膿皮症が落ち着いてたのに、また発症…そんなときは

    上述したように膿皮症は犬の皮膚のトラブルや、犬の基礎疾患によって皮膚のバリア機構が弱くなると発症することが多い。だから何度も繰り返すときは原因を探して、原因疾患を治療する必要がある。

     

    • アレルギー性皮膚炎(アトピー性皮膚炎や食物アレルギー)
    • 多汗症
    • 脂漏症
    • 甲状腺機能低下症
    • 副腎皮質機能亢進症
    • 腫瘍
    • ステロイド製剤
    • 免疫抑制剤

    などなど…

    膿皮症のまとめ

    • 膿皮症は皮膚の常在菌であるブドウ球菌が悪さをする。
    • 菌側だけでなく動物側に発症要因があることが多い。
    • 再発を繰り返す場合は原因疾患を探して治療しましょう。

     

     

    膿皮症について不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。