【解説】耳が赤い!痒い!汚れが出てくる!外耳炎について
2025/03/07
流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。
流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森- 院長の坂本です。
今回は外耳炎について解説します。
犬・猫の耳の構造について
大きな構造は人と同じで外耳、中耳、内耳に分かれています。
外耳:耳介~耳道~鼓膜
中耳:耳小骨・鼓室包
内耳:前庭・蝸牛管・三半規管。
犬・猫が人と違うのは外耳です。人の耳道は水平耳道のみでまっすぐですが、犬・猫は垂直耳道と水平耳道があり、まっすぐではありません。
他には耳介の形(垂れ耳・立ち耳)、犬種により耳道の長さ・太さにバリエーションが豊富なのも人とは違う点になりますね。

外耳炎とは
外耳炎は外耳に起こる炎症を指します。つまり耳介、垂直耳道、水平耳道、鼓膜までの炎症です。
犬ではこの外耳炎が度々発生します。猫では外耳炎はそう多くありません。
中耳に起こった炎症は中耳炎、内耳に起こった炎症は内耳炎となります。(中耳炎は聞き馴染みがあるかと思います。)
中耳炎と外耳炎では治療方針が違いますが、外耳炎から中耳炎へと波及するケースもあります。
耳道内には自浄作用があり、耳垢は鼓膜側から耳介の方へと自然に移動します。そのため耳垢はついていても軽度ですし、入口付近のみの付着となります。
外耳炎では自浄作用がうまくいかず、耳垢が溜まりやすくなります。それが汚れとして認識されます。
外耳炎の症状は?
外耳炎の症状としては
- 耳を痒がる
- 耳を触ると痛がる
- 耳垢が出る
- 耳から膿のようなものが出る(耳漏、耳だれ)
- 耳の臭いが強い
- 耳が腫れている など
痒みの仕草は、耳を後ろ足で掻く、頭をブルブルとよく振る、壁・床・家具などに耳をこすりつける等が認められます。
外耳炎の原因は?
外耳炎の原因はPSPP分類といわれ、主因、副因、素因、増悪因に分けられます。代表的なものを記載します。
主因
この原因自体が外耳炎を発症させることができる因子。
- 脂漏
- 先天的
- 甲状腺機能低下症
- 副腎皮質機能亢進症
- 性ホルモン関連など
- 皮膚炎
- 犬アトピー性皮膚炎
- 食物アレルギー
- 接触性皮膚炎など
- 寄生虫
- ミミダニ
- ニキビダニ
- 疥癬
- 異物
- 植物
- 被毛など
- 角化異常
- 脂腺炎
- 本態性脂漏症など
- 免疫介在性疾患
- 自己免疫疾患
- 感染症
- 外傷
副因
外耳炎を発症もしくは病状を悪化させる因子。
- 細菌
- マラセチア
これらは早期に除去ができるものです。また細菌、マラセチアが増殖してるからこれが大元の原因だ!というわけではなく、これらが増殖した原因を探す必要があります。
素因
外耳炎を発症させやすくする因子。これ自体は外耳炎を発症させない。
- 環境的要因
- 季節(高温多湿)
- 暖房器具
- 不適切な耳掃除など
- 身体的要因
- 垂れ耳
- 耳毛
- 狭い耳道
- 耳道内のできもの など
増悪因
外耳炎の結果生じた構造・機能変化で、慢性化に関わる因子。持続因ということも。発生した外耳炎を治しにくくする。
- 外耳道狭窄
- 軟骨の石灰化
- 中耳炎 など
問題となるのは主因と素因になります。
異物、寄生虫、外傷など治せるものはあり、これらは治療すれば完治が見込めます。ただ脂漏、アレルギー性皮膚炎、角化異常などはそれ自体の完治が難しいものであり、これらが根本にある場合は基本的に外耳炎は何度も繰り返します。
犬で臨床的に多いのは脂漏とアレルギー性皮膚炎です。したがって犬の外耳炎は一度の治療だけで完治するもの、というよりも付き合っていく病気と考えたほうが良いかと思います。
一方で猫で多いのは寄生虫(ミミダニ)と腫瘤になります。こちらはしっかりと治療すれば完治が望めるものとなります。
外耳炎の診断方法は?
外耳炎の診断は身体検査、耳垢検査、血液検査、X線画像検査、ビデオオトスコープがあります。
身体検査
耳のどの部位に病変があるのか、どういった病変か、耳垢の性状はどうかなどを確認していきます。
またアレルギー性皮膚炎がある場合は、耳だけでなく顔、身体、手足などにも病変がある可能性があるので、全身くまなくチェックしていきます。
来院前に飼い主様に把握しておいてほしいことがいくつかあります。これは食物によるアレルギーか、環境中のアレルゲンによるもの(アトピー性皮膚炎)かの判断をしやすくするために確認します。
- 今回の症状が出たのはいつからか?
- 耳以外の部位に痒がるような仕草はあるか?
- 耳や他の部位の痒みなどが初めて発症したのは何歳頃か?
- 季節によって症状の程度が変わるか?
- 排便回数は1日何回か?
- できれば今食べているフード名・原材料
耳垢検査
耳垢を顕微鏡で観察し、炎症細胞、細菌、マラセチア、寄生虫の有無を確認します。
血液検査
繰り返す外耳炎や、他の部位に脂漏・脱毛がある場合には内分泌疾患や腫瘍が関係していることもあり、疑いがあれば血液検査を行います。
X線画像検査
重度な外耳炎や、中耳炎が疑われる場合は頭部のX線画像検査を行い、耳道の石灰沈着や鼓室包(中耳)に内容物が貯留していないか等を確認します。
頭部のX線撮影はじっとできない子も多いため、鎮静を用いることもあります。
ビデオオトスコープ
耳にいれる内視鏡のようなものです。カメラで拡大しての観察、腫瘤の切除、通常の耳洗浄だけでは取れない耳垢も除去することができます。
ビデオオトスコープがある病院は多くありません。残念ながら当院にはありませんので、必要に応じて他院を紹介いたします。
外耳炎の治療方法は?
主因・素因によって治療法は異なります。また副因に挙げられる細菌・マラセチアの除去は耳洗浄が必要となります。
点耳薬
アレルギーによる外耳炎、細菌感染、マラセチア感染がある場合は点耳薬を用います。
点耳薬にはステロイド、抗生剤、抗真菌薬のすべてもしくは一部が含まれます。
点耳薬に対する犬の許容度や費用などから総合的に判断して、家で点耳していただくこともあれば、院内で点耳するだけの薬をつかうこともあります。
気をつけなければいけないのは、点耳薬でもステロイドはステロイド。炎症や痒みを抑えてくれるいい薬ではありますが、ずっと使い続けると良くないことが起こります。なので、落ち着いたら点耳回数を減らすようにしましょう。
痒みが出た!→点耳薬使おう!というのは「リアクティブ療法」といいます。発症してから治療をする方法です。外耳炎が一時的なときや繰り返す頻度が少ないときにはコチラで十分だと考えられます。

一方で発症する前に使うことで再発させにくくして維持する方法を「プロアクティブ療法」といいます。外耳炎が繰り返す可能性が高い、もしくは既に何度も繰り返している症例において有効な治療法です。
外耳炎が落ち着いたら、その後は少しずつ点耳の間隔を空けていき、痒み・赤みがなくても1週間に1~2回の点耳を行います。このペースであれば長期間にわたってステロイド点耳薬を使い続けられるとされています。

内用薬(飲み薬)
耳の状況があまりに悪く触れることや耳鏡による観察も難しい場合、耳だけでなく全身の皮膚状態が悪い場合、内分泌疾患がある場合などでは内用薬も必要となります。
ノミ・ダニ駆除薬
ミミダニやニキビダニなど寄生虫感染が認められた場合にはノミ・ダニの駆除薬を用います。
耳洗浄
耳垢が多い場合、細菌・マラセチアが認められる場合は耳洗浄を行います。
後述しますが、当院では基本的に家での耳掃除はオススメしておりません。
外科療法
腫瘤がある場合、外傷がある場合に適応となります。
また慢性外耳炎で耳道が硬くなり、正常な耳道に戻る見込みがないときは耳道切除なども行います。
ところで耳掃除って…
みなさんはお家でわんちゃん、ねこちゃんの耳掃除はしてますか?
基本的にはお家での耳掃除はオススメしません。(これは人医療でも言われてますね)
素因にも記載した通り、不適切な耳掃除が外耳炎のもとになるからです。
汚れが多いときは外耳炎など耳のトラブルが発生していると考えていただき、まずは動物病院へ受診しましょう。
どうしても気になるのであれば、見える範囲の耳垢だけをやさしく除去しましょう。
濡らしたガーゼ、脱脂綿などが良いかと思います。
決して綿棒は使わないようにお願いします。
綿棒の先端は耳道にとっては硬いです。
また手前に出てきている耳垢を奥に押し込む要因にもなります。
※例外的に獣医師の指導の元で洗浄液を使い、耳掃除していただくこともあります。
まとめ
外耳炎の原因は耳だけではなく全身も関係していることもあり、繰り返すことの多い病気です。
これから春になり暖かくなると、植物の花粉、コナヒョウヒダニなどが増えてアトピー性皮膚炎(主因の1つ)の発症が多くなります。また高温多湿(素因の1つ)にもなってくるので、アトピー性皮膚炎と合わせて外耳炎が発症しやすくなります。
外耳炎も他の疾患と同じく早期に治療を始めたほうが改善するのも早くなります。
耳の痒み、赤み、耳垢が目立つようであれば”まず耳掃除”ではなく、”まず動物病院への受診”をしましょう。
当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。
外耳炎について不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。
21動物病院-おおたかの森-
千葉県流山市おおたかの森北2-50-1 GRANDIS 1階
TEL: 04-7157-2105
Web予約: https://wonder-cloud.jp/hospitals/21ah_nagareyama/reservationsonder
LINE: @092jvjfm
執筆:獣医師 院長 坂本




