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    【解説】食物アレルギーのときの除去食試験とは?

    2024/02/04

    流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。

    流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森- 院長の坂本です。

     

    今回は食物アレルギーを疑うときに行う検査兼治療の、除去食試験について解説します。

     

    除去食試験とは?

    上述したとおり、食物アレルギーを疑うときに行う検査 兼 治療です。食物アレルギーの検査のゴールドスタンダードとされています。

    ざっくりと簡単にやりかたを説明すると、

     

    1. 新しいフードに変える
    2. 症状が改善するか確認する
    3. 元のフードに戻す
    4. 症状が再発するか確認する

    という手順になります。

     

    このときに新しいフードに変えて、症状が改善する。さらに元のフードに戻して症状が再発するとき、元のフードに入っているが、新しいフードにない原材料のどれかがアレルゲンと言えます。

    除去食フードはどうやって選ぶ?

    まずは今食べているフードの原材料を見てみましょう

    ワンちゃん、ネコちゃんのフードの原材料も、人間のものと同じく含有量が多い物から順に記載されています。

     

    食物アレルギーの原因”アレルゲン”となるのはタンパク質とされています。

    従って主にチェックするのは肉類魚類穀物です。

    ※正確には油などにもタンパク質は含まれていますが、微量であまりアレルギー反応を起こさないこと、そこまで厳密にするとフードが選べなくなるので気にしなくても大丈夫です。

     

    除去食試験に使うフードは2パターンあります。

     

    1. これまで食べたことのない新奇タンパク質食
    2. アレルギーを起こしにくくした加水分解食

     

    お勧めは新奇タンパク質食です。

    なぜかというと、確実にアレルゲンとなるタンパク質の種類を絞り込むことができるからです。

    こういう食物アレルギー用の新奇タンパク質食は、タンパク質の種類が1~2種類に限定されています。従って、そのフードで症状の改善があるなら、少なくとも含まれているこのタンパク質はOKと絞っていきやすいです。

     

    加水分解食では、食物アレルギーなことはわかっても、結局どのタンパク質が大丈夫なのかその時点ではわかりません。

     

    また症例によっては加水分解していても、反応してアレルギーを起こすことがあるからです。

    アレルギー検査は有用か?

    結論から言うと、部分的に有用です。ただし動物病院で行うものに限ります。

    アレルギー検査の結果だけでは絶対にこの食べ物にアレルギーがある!とは言い切れません。

    フードを選ぶときの参考にはしますが、実際食べると意外と大丈夫だったり、陰性なのに反応したりすることもあります。

     

    またアレルギー検査には、IgE検査リンパ球反応検査があります。

     

    食物アレルギーの80%ほどがリンパ球が反応するアレルギー(Ⅳ型アレルギー)

    20%ほどがIgEが反応するアレルギー(Ⅰ型アレルギー)

     

    環境中の物質に対するアレルギー(いわゆるアトピー)の場合はIgE検査だけで十分ですが、食物アレルギーの場合はIgEとリンパ球のどちらも検査するのがベストです。

     

    よくペットショップなどで被毛でアレルギー検査というものがありますが、エビデンス(根拠)はありません。

    除去食試験の実際

    除去食試験のための新しいフードに変える。

    皮膚症状の場合、フードを変えて4~8週間そのまま継続します。

    フードが有効なものなら、4週間で症例の50%の子が、8週間で90%以上の子が改善すると言われています。

     

    また、変法として、フード変更とともに痒み止めを2週間ほど使用して、服用終了後はフードのみで痒みがどうなるかをみることで、試験期間を4週間にする方法もあります。

     

    変更前に、痒みスコア(10段階)をつけましょう。数値化することで改善したかどうかが分かりやすくなります。

    写真で皮膚の赤みや毛の生え具合を確認するのも良いです。

     

    消化器症状(下痢や嘔吐)の場合は1~2週間で反応が見られることが多いです。

     

    症状が改善したかを判定する。

    先ほどの痒みスコア(10段階)や写真を見比べて、改善ありなら食物アレルギーの可能性が高いです

     

    非常に痒みが落ち着くようなら食物アレルギーのみの発症の可能性があります。

    痒みが減ってるが落ち着き切らないなら食物アレルギーと環境のアレルギーの併発の可能性があります。

     

    症状が改善したのであれば、元のフードに戻してみる(食物負荷試験)

    フードを変えて改善していたのが、本当に食べ物の影響なのか、たまたまなのかを確認します。

    フードを元に戻して、症状が出るまで続けてみましょう(最長2週間)。

     

    たまにフードを元に戻しても症状が悪化しない症例がいます。こういう子は残念ながら食物アレルギーの可能性が低いという判断になります。

    除去食試験中の注意点は?

    1種類のフードを試して、症状の改善がなくても、もう1~2種類試してみましょう。

    もともと除去食として選んだフードにその子にとってのアレルゲンが含まれていた場合は改善しません。

     

    除去食試験中は他の食べ物を一切与えない。

    除去食用のフードのみ与えましょう。デンタルガムも、チュアブルタイプの錠剤も控えたほうが良いです。一口でもダメです

    どうしても何か与える場合は、新奇タンパク質食であればそのフードに含まれているモノは与えてOKです。

    例えば、タンパク質源がポテト単一の場合、茹でたジャガイモを与えるのはOK。

    猫でも除去食試験しますか?

    皮膚の痒み、下痢、嘔吐などで、食物アレルギーを疑う場合に猫でも同様に行うことがあります。

    ただし猫はフードを変えるのが難しいことが多いので、苦労することも…。また犬ほどアレルギー用のフードが多くないという実情もあります。

     

    除去食試験の流れは犬と同様ですが、フードは犬ほど厳密にしなくても改善することが多いと言われています。

    またアレルギー検査は現状、IgE検査しかありません。

    アレルギーの反応としては、IgEもあれば、リンパ球もあるようです。

    まとめ

    • 除去食試験は食物アレルギーかの検査と治療を兼ねています。
    • 除去食試験中は、他の食べ物は一切与えないようにしましょう(ほんのちょっともダメ)
    • アレルギー検査は絶対なものではないので、フード選びの参考としましょう。

     

     

     

    除去食試験について不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。