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    【解説】犬・猫を飼育しはじめたらするべき検査・予防8選

    2025/01/31

    流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。

    流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森- 院長の坂本です。

     

    今回は犬、猫を飼育し始めたらするべき検査・予防について解説します。

     

    動物を譲り受けるのは、ペットショップ、ブリーダー、保護団体、知人からなど様々なシチュエーションがあるかと思います。

    いずれの場合にしても、その施設内で感染症にかかっているケースや伝えられてなかった疾患が見つかることもあるので、是非一度は検査をしましょう。

     

    また人間と違い地面に近いところを歩き、汚れた場所や虫が多いところに平気で行き、毛で隠れて虫がついてても気付きにくい動物たちにはしっかりとした予防が必要になります。

     

    するべき検査

    身体検査

    身体検査はしていただきたい、というよりは動物病院に受診するとされると思います。譲り渡し元では見つかっていなかったものが見つかったりすることがあります。

     

    子犬・子猫ですと、臍や鼠径ヘルニア、泉門の開口(いわゆるペコ)、膝蓋骨脱臼、心雑音(先天性心疾患)などが挙げられます。

    成犬・成猫でも同様に様々なものが見つかる可能性があります。心雑音に関しては先天性心疾患よりも、犬では僧帽弁閉鎖不全症など弁膜症、猫では肥大型心筋症など心筋症である可能性が高くなります。

     

    糞便検査

    消化管内寄生虫の検出を行います。譲り渡し元で駆虫薬を使っていても検出されることがあります。線虫類(回虫や鈎虫など)は有効な駆虫薬が多いですが、ジアルジアやトリコモナスなどの原虫やコクシジウムなどは駆虫できてないことが少なくありません。

     

    一般的には糞便検査は直接鏡検と浮遊法による鏡検を行います。

    ※鏡検…顕微鏡検査

     

    直接鏡検では細菌、原虫、コクシジウムなどをメインに探していきます。できる限り新鮮な糞便を検査したいので院内で直接糞便を採材することが多いです。

    浮遊法による鏡検では虫卵をメインに探していきます。こちらはある程度の量の糞便が必要なので、持参していただいた糞便で検査することが多いです。

     

    少しでも寄生虫の検出率を上げるために、家で排泄したできるだけ新しい糞便を動物病院に持っていき、検査してもらいましょう。

     

     

    血液検査

    成犬・成猫では全身状態の把握のために健康診断の血液検査(血球数、肝臓、腎臓など)はしておいても良いでしょう。

     

    猫で、元野良猫や親が野良猫の場合は猫エイズや猫白血病の検査をしましょう。これらの病気は持っているだけで様々な疾患の罹患リスクが上昇したり、多頭飼育では感染を広げるリスクがあります。

     

    するべき予防

    混合ワクチン

    子猫、子犬の場合は初年度は3回接種するケースが多いです。初年度の最終回のワクチンは16週齢以上に接種するようになります。

    成猫、成犬は1~3年に1度になります。

     

    飼い主の皆様の予防に対する意識が高くなってきたおかげで、これらの感染症を見る機会はぐっと減りました。しかし現在でも時折発生しており、感染症の種類によっては致死率が高いものもあります。

     

    また予防接種した証明書がないとペットサロンやペットホテルの利用ができない事が多いです。そういった観点からも混合ワクチン接種は行いましょう。

     

    混合ワクチンに関しての詳細はこちらの記事を御覧ください。

     

    狂犬病ワクチン

    狂犬病予防法によって接種が義務付けられています。犬を飼育し始めて30日以内(生後90日未満の場合は、生後90日を超えた日から30日以内)に接種しましょう。その後は1年に1度の接種です。

     

    日本にないとされていますが、台湾のように実は潜んでいる可能性もありますし、海外から入ってくる可能性もあります。また感染し発症すると人も犬もほぼ100%致死することから予防が重要な感染症になります。

     

    狂犬病ワクチンに関しての詳細はこちらの記事を御覧ください。

     

    フィラリア予防

    フィラリアは蚊が媒介する寄生虫で、心臓~肺動脈に寄生します。蚊が媒介するので、蚊が飛び始めて1ヶ月後から、蚊がいなくなって1ヶ月後まで予防します。

     

    予防薬といっていますが、実情は駆虫薬のようなものです。感染したかもしれないフィラリアの子虫(ミクロフィラリア)を毎月駆除することによって予防します。駆虫し忘れてミクロフィラリアが育ってしまうと、お薬が効かなくなり、感染してしまいます。

     

    したがって投薬してから予防効果が1ヶ月続くわけではなく、過去1ヶ月間の感染をなくす、という形の予防になります。

    フィラリア予防に関しての詳細はこちらの記事を御覧ください。

     

    ノミ・マダニ予防

    外に出る子は必ずノミ・マダニの予防をしましょう。

    ノミやマダニに寄生されると、貧血、ノミアレルギー、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など感染症、ノミ・マダニを媒介する寄生虫などにかかるリスクがあります。

     

    ノミは気温が13℃以上あると繁殖できると言われています。夏はもちろんですが、冬でも一度家に持ち込まれると家の中で繁殖できるということです。したがって通年の予防が理想的です。

     

    マダニは山や川といった大自然の中、というイメージがあるかもしれません。実は都市部の公園でも寄生されることがあります。

    流山市でも特にまだ予防を始めてない春先にマダニをつけてくる子がよく居ます。

     

    注意点として、ノミ・マダニの予防薬は忌避効果(虫が寄ってこなくなる効果)はありません。あくまで吸血時に薬剤が虫の体内に入ることで効いてきます。したがって全く虫が付着しないわけではありませんのでご注意ください。

     

    消化管内寄生虫の駆虫・予防

    糞便検査の項目で記載したように、譲り渡し元で感染している場合があります。また糞便検査も寄生虫の検出率は100%ではないため、1度はしっかりと駆虫しておくのがオススメです。

     

    線虫類に関してはすでに駆虫済みとされていることも多いです。またフィラリア予防をするのであれば、その予防薬が線虫類にも効果があることは珍しくありません。

     

    原虫やコクシジウムは糞便検査での検出率がより低いこと、普段は少ないが腸内細菌叢が乱れたときに増えやすいことから見逃されることが多いです。さらに線虫類とは別の駆虫薬を使う必要があります。

     

    まとめ

    犬・猫を飼育しはじめたら、身体検査、糞便検査、場合によっては血液検査をしてもらいましょう。

     

    予防は混合ワクチン、狂犬病ワクチン、フィラリア、ノミ・マダニ、消化管内寄生虫と多岐に渡りますが、フィラリア、ノミ、マダニ、消化管内寄生虫はオールインワンタイプの予防薬もあるのでそちらを利用すると楽になります。

     

    当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。

    犬を飼育し始めたらするべき検査・予防について不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。