ブログ|流山おおたかの森駅で動物病院をお探しの方は21動物病院 -おおたかの森-まで

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    【解説】未避妊の犬・猫に多い!乳腺腫瘍の検査は?治療は?

    2024/03/10

    流山市(おおたかの森、初石、南流山)、柏市(柏の葉、豊四季)、野田市(運河、梅郷、愛宕、清水公園、七光台)の皆様こんにちは。

    千葉県流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森- 獣医師の岡江です。

    当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。

     

    今回は未避妊の犬猫に発症しやすい乳腺腫瘍について解説をします。

     

    乳腺腫瘍とは?良性、悪性の割合は??

    乳腺腫瘍とは、乳腺の組織の一部が腫瘍化してしこりができる病気です。

    犬と猫では特徴が少し異なります。

     

    〈犬〉

    犬の乳腺腫瘍は未避妊雌に発生する腫瘍では最も多く、中~高齢で発生が増加します。

    犬に発生する乳腺腫瘍の場合、半数が良性とされています。悪性の場合でも転移をするものはその中の半数と言われていて多くの場合では早期の適切な治療により良好な予後が期待できます。

     

    〈猫〉

    猫の乳腺腫瘍は猫全体の腫瘍のうちの17%をしめ、猫の腫瘍では3番目に多いとされています。

    犬同様に中~高齢で発生が増加します。

    猫では乳腺腫瘍の85~95%が悪性であり良性のことはほとんどありません。

     

    良性の場合なら経過をみていてもいい?

    良性腫瘍であっても時間の経過と共に悪性腫瘍に転化することがあります。長期間無治療で放置することは推奨されません。早期発見、早期治療が重要です。

     

    乳腺腫瘍の原因は?予防はできる??

    乳腺腫瘍は、乳腺細胞が女性ホルモンの影響を受けて増殖するうちに遺伝子変異などを生じて腫瘍化すると発生します。したがって初回発情前の避妊手術で乳腺腫瘍の発生率を減らすことができます。

     

    〈犬〉

    避妊手術を初回発情前に行うと乳腺腫瘍の発生率は0.5%ですが、初回発情後では8%、2回以上の発情後では26%に上昇します。2歳をこえての避妊手術では予防効果はほとんどないとされています。

     

    〈猫〉

    避妊手術を初回発情前に行うと乳腺腫瘍の発生率は9%ですが、初回発情後では14%、2回以上の発情後では89%に上昇します。2歳をこえての避妊手術では予防効果はほとんどないとされています。

     

    そのため、犬も猫も乳腺腫瘍の発生リスクを下げるためには、早期、特に初回発情前での避妊手術が推奨されます。

    去勢・避妊手術についてはコチラの記事をご覧ください。

     

    21動物病院での乳腺腫瘍の検査・診断は?

    当院では乳腺部のしこりを発見した場合には以下の検査を実施していきます。

     

    1 細胞診検査(FNA検査)

    始めに行う検査です。

    細い注射針で腫瘤の中の細胞を吸引しスライドガラスに塗布し、染色したのち顕微鏡で観察する検査します。

    良性、悪性かの診断は出来ませんが、その腫瘤が本当に腫瘍か(炎症等では無いか)、また腫瘍の中でも乳腺腫瘍かそれ以外の腫瘍かを判断します。

    Needle Aspiration in Dogs - Conditions Treated, Procedure, Efficacy, Recovery, Cost, Considerations, Prevention

     

    2 胸部レントゲン検査

    乳腺腫瘍という診断がついたら次は胸部レントゲン検査を実施します。

    肺転移がないかの確認をします。

    Veterinary Radiology – Teaching and learning about veterinary diagnostic imaging.

    3 病理組織検査

    確定診断ができる検査です。

    手術によって切除した腫瘍はを外注して病理組織検査を実施します。

    良性または悪性かが判明します。

     

     

    21動物病院での乳腺腫瘍の治療は??

    乳腺腫瘍の治療の第一選択は外科手術による完全切除です。

    補助的に化学療法(抗癌剤)を実施することもあります。また、進行した末期の乳腺腫瘍の場合は緩和ケアをすることもあります。

     

    外科手術

    〈犬〉

    腫瘍の悪性度、ステージ、腫瘍の数、年齢や一般状態を考慮して術式を決定します。

    術式には「腫瘤」切除術、「部分乳腺」切除術、「片側乳腺」切除術、「全乳腺」切除術などがあります。

    摘出した乳腺組織を病理組織検査で確定診断を行い、良性か悪性かが判明します。

    悪性度が高い場合や進行状態によっては、術後に補助的な化学療法(抗癌剤)を行うこともあります。

     

    〈猫〉

    猫の場合85~95%が悪性なので、肺転移がない状況であれば「片側乳腺」切除術をおすすめします。

    両側の乳腺に腫瘍がある場合は片方の乳腺の全摘出術を行った1ヶ月後にもう片方の乳腺全摘出術を行います。

    (一度に行うと術後の皮膚の締め付けがきつくなるためです。)

     

    化学療法(抗癌剤)

    補助的な治療法です。抗がん剤が転移を防いだり、再発をおさえたりするはっきりとした効果は実証されていません。

     

    緩和ケア

    病気と戦うことが全ての治療ではありません。手術や化学療法(抗癌剤)による治療を行っても、腫瘍は根治に至らないケースもあります。痛みを少なくして、最後まで食事が食べられて出来るだけ快適に過ごせることを目標に現在の状況に合った処置をしていきます。

     

     

    21動物病院での治療選択の方法は?

    当院では飼い主様とのコミュニケーションをとても大事にしています。動物を触って、診断してコレだからこの治療だけです!と押し付けるような治療ではありません。コミュニケーションに十分な時間を取り、動物と飼い主の双方が十分な利益を受けられるように意識しています。

    症状の重症度、飼い主様の通院できる頻度、動物のストレス、飲み薬ができるか、注射が大丈夫か、経済的な状況など含めて総合的に判断し、相談の上、治療方針を定めていきます。

     

    乳腺腫瘍の予後は?

    良性の乳腺腫瘍の場合、手術による完全切除により完治します。

    悪性の乳腺腫瘍の場合、早期に発見でき腫瘤が小さければ完治することもありますが3㎝を超える大きさの場合や

    リンパ管浸潤やリンパ節転移のある場合では高率で再発・転移します。

    できるだけ早期発見、早期治療が重要と言えます。

     

     

    乳腺腫瘍についてご不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。

    セカンドオピニオンのご相談も受け付けています。お気軽にご来院ください。