去勢・避妊手術って受けたほうがいい?
2023/09/08
今回は去勢・避妊手術をする時期、すべきかどうかについてご説明します。
去勢手術、避妊手術って何?
どちらも生殖能力をなくす不妊手術を指します。一般的にはオスが去勢手術、メスが避妊手術といいます。
去勢手術では精巣摘出となります。皮膚を切開して精巣を摘出します。イヌでもネコでも短時間(~15分程度)で終わる手術です。
避妊手術では卵巣摘出または子宮卵巣全摘出となります。どちらの術式をとるかは動物病院によって異なりますが、当院では子宮卵巣全摘出術を行っています。去勢手術と違い、お腹を開けて内臓を摘出する形になりますので、手術時間は30~60分ほどかかります。
手術する時期は?
小~中型犬、猫の去勢・避妊手術の時期は、おおよそ生後6~7か月齢です。大型犬は7~12か月齢です(犬種・体格によります)。
オスの去勢では、それほど急いで手術する必要はありませんが、手術が遅くなるほどマーキングの癖が残ったり、一部の疾患の予防効果が低下したりします。
メスの避妊では、犬も猫も初めての発情(ヒート)が起こる前に手術をすることで、乳腺腫瘍の発生率が抑えられることが分かっています。遅くても3回目の発情までに手術しましょう。それ以降では乳腺腫瘍の予防効果はほとんどありません。(避妊手術をする意味がないわけではありません。)
乳腺腫瘍の発生率について
詳細には未避妊での乳腺腫瘍の発生を100としたときに…
犬では1回目の発情が来る前で0.5、1回目発情の後・2回目発情の前で8.0、2回目発情後で26.0となります。
猫では手術の時期が6か月齢までで9.0、7~12か月齢で14.0、13~24か月齢で89.0となります。
小型犬の乳歯遺残
小型犬では永久歯が生えても乳歯が残ってしまう“乳歯遺残”が少なくありません。去勢・避妊手術時に乳歯遺残が認められれば、同時に抜歯をお勧めしています。
永久歯がなかなか生えてこない場合は、生えるまで手術を待つか、先に去勢・避妊手術をするかを選ぶ必要があります。
大型犬の関節疾患リスク
大型犬は早期に手術をすると骨関節疾患のリスクが上昇するとされています。性ホルモンが骨を伸ばす部位の成長板の機能に影響を及ぼすため、早期の手術により成長板が早期閉鎖し、骨がしっかりと成長しないためです。
メスでは遅いと発情が起きて乳腺腫瘍の発生リスクが上昇し、早いと関節疾患のリスクが上昇するので、どの時期に避妊手術をするかは獣医師と飼い主様での相談が必要になります。
オスは遅く手術するデメリットが少ないため、成長が止まってからの手術が推奨されます。
去勢・避妊手術のメリット
- 子宮・精巣そのものの病気が防げる。子宮内膜炎、子宮蓄膿症、精巣炎、精巣捻転など。
- 性ホルモンが影響する病気が防げる。会陰ヘルニア、乳腺炎、前立腺肥大など。
- 一部の腫瘍の発生率が低下する。乳腺腫瘍、肛門周囲腺腫など。
- 攻撃行動・マーキング・マウンティングの軽減
- 発情による食欲低下や鳴き声の軽減・消失
- 望まない妊娠がなくなる
去勢・避妊手術のデメリット
- 手術・麻酔そのもののリスク
- 術後の肥満傾向
- 尿失禁の可能性が高くなる(特に大型犬の早期手術)
- 子供が産めなくなる
- 一部の腫瘍の発生率が上昇する(かも)
メリットに挙げられた予防できる病気は、発症すると手術が必要なものが多く、リスクも費用も高くなります。一方でデメリットに挙げられた項目は、食事の管理や内服薬で対応できるものとなります。また麻酔のリスクは若くて健康なほうが低くなります。手術のリスクだけは獣医師の腕によりますが…。
不妊手術により一部の腫瘍の発生率が上昇すると報告する論文がありますが、不妊手術により寿命が伸びた結果、腫瘍の発生率が上昇したという可能性も指摘されているため、上昇する(かも)とさせていただきました。
したがって若齢時に去勢・避妊手術をするほうが高齢・病気になってから手術するよりもリスクが低く、メリットも大きいものとなります。メリットとデメリットを天秤にかけて、デメリットよりもメリットが大きいと感じたら手術しましょう。
個人的には、子供を作らせたいわけでなければ去勢・避妊手術を受けることをお勧めしています。多くの病気の予防になること、去勢・避妊しない場合に性的な興奮があってもそれが叶わないこと、マーキングや発情時の鳴き声(ネコ)で生活が困ることなどが理由です。
去勢手術・避妊手術に関して不明点、ご相談があればお気軽に当院までお越しください。




