【解説】よく見かける目頭が茶色い子たち。涙やけについて
2024/03/04
流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。
流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森- 院長の坂本です。
当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。
今回は涙やけを起こす疾患、流涙症について解説します。
そもそも涙はどこから分泌されてどこへ排出されるのか?
どうして涙やけを起こしてしまうのかを話すには、まず涙の動きを知っている必要があります。
- 上眼瞼(がんけん)の主涙腺から涙が分泌される
- 涙は瞬目(しゅんもく、まばたきのこと)によって眼球表面に広がる
- 目頭にある涙点に入る
- 涙小管→涙嚢→鼻涙管へと進んでいく
- 鼻孔に排出される
ちなみに涙の役割は以下の3つ。
- 眼表面の乾燥の予防
- 眼球表面の粘膜・角膜の保護と酸素・栄養の供給
- 光学面の形成
黒目の部分の一番表面は角膜といい、光を通すために透明な膜になっています。ここには血管がないため、涙がその代わりを果たすというわけです。

じゃあ涙やけってどういう状態?
涙やけは、涙が眼から溢れることで被毛が濡れて、被毛が赤褐色になること。ときに皮膚炎も起こします。
この涙が溢れだしてしまう疾患を流涙症といいます。
流涙症になってしまうのは、涙の経路で異常が起きたとき。その原因は2つに大別されます。
- 涙の分泌が過剰になっている。
- 涙の排泄がうまくできない。

1. 涙の分泌が過剰になる原因
涙の分泌が過剰になる原因も細分化されます。
- 涙腺の炎症
- 眼の疼痛による反射性分泌
反射性分泌とは、角膜に刺激があると主涙腺へと伝わり、大量の涙液が分泌されること。異物を洗い流したり、角膜の創傷治癒の促進、刺激からの眼球の保護の役割がある。
- 異物
- 睫毛の異常(逆まつげや眼瞼内反)
- 角膜障害(角膜に傷がついたなど)
- 炎症を伴う眼疾患(ブドウ膜炎、緑内障、水晶体前方脱臼など)
ヒトも目にゴミが入ったり痛みがあると涙が出ますよね。それと同じです。また眼が痛いときは、眼をしょぼしょぼさせることが多いです。

2.涙の排泄がうまくできない原因
涙の排泄異常があるときは、排泄経路である涙点や鼻涙管のトラブルが示唆される。
- 先天的な鼻涙管の異常
- 涙点の欠損、鼻涙管の欠損、鼻涙管の狭窄など
- 後天的な鼻涙管の閉塞・狭窄
- 炎症産物、異物、腫瘍など

涙やけで必要な検査は?
まずは眼に疼痛を起こす疾患がないかどうか鑑別します。
- 視診
- 細隙灯顕微鏡(スリットランプ)による観察
- フルオレセイン染色
- 眼圧検査
眼の疼痛がなければ、涙の排泄異常とみなし検査を進めていきます。
- 鼻涙管疎通試験
- 鼻涙管洗浄
鼻の腫瘍などが疑われる場合はCT検査を行うこともあります。
涙やけの治療
眼の疼痛を起こす眼疾患がある場合は、まず原疾患の治療を行います。
例えば、眼に傷があれば傷の治療、緑内障があれば眼圧を下げる治療などです。
炎症産物による鼻涙管の閉塞がある場合は、まず鼻涙管洗浄を行い、抗菌薬や消炎剤などの全身投与もしくは点眼を行います。
先天性の涙点の欠損や鼻涙管の欠損・狭窄がある場合は、完治は難しく生涯付き合っていく必要があるケースも。命に関わることはありませんが、涙でずっと濡れていると皮膚炎を起こし、ただれてしまうことがあります。こまめに拭き取りましょう。

涙やけ、流涙症のまとめ
- 涙やけは涙が溢れ出る流涙症によって起こる。
- 流涙症は涙が過剰になっているか、涙の排泄異常による。
- 先天的な鼻涙管の狭窄などでは生涯付き合っていく必要も。





