ブログ|流山おおたかの森駅で動物病院をお探しの方は21動物病院 -おおたかの森-まで

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    【解説】こんな時どうすればいい?犬のしつけの基本的な考え方について

    2025/08/21

    流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。

    流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森-です。

     

    今回は、しつけの基本について解説します。

     

    犬にしつけをする際に、悩んだことはありませんか?そんなときに役立つ行動修正法という考え方を紹介します。

     

     

    行動修正法とは

    動物の起こした問題行動を適切なものに変える行動治療法のことをいいます。基本的にご家庭で実施していただくため、これを成功に導くためには飼い主がきちんと理解し実践できるかにかかっています。

     

     

    犬の問題行動の原因

    犬が問題行動を起こす原因は遺伝や生後の環境に大別されますが、中でも環境の要因が大きいと考えられています。犬の社会化期にあたる3~12週齢頃(特に~8週齢)に十分な刺激を受けていれば刺激受容能力は高まるため、問題行動は少ないとされています。ただ近年、犬は番犬ではなく家庭犬に変化していることや、飼い主の引っ越しなどで居住環境が大きく変化することがあるなどの要因から、様々な問題行動が発生しています。周囲の環境が犬にとって好ましい状況になれば、ストレスが減って問題行動にも変化が期待できます。そのため、環境に馴化させることと、飼い主と犬の関係を正常な状態させることが、犬の問題行動を解決するためのポイントになります。

     

     

    服従訓練

    「お座り(座れ)」「伏せ」など飼い主の命令に的確に従うようにすることを、服従訓練といいます。服従訓練は問題行動を矯正するために、とても重要です。この訓練によって、犬の信頼や服従心を得ることができ、飼い主に従う行動をとるようになるからです。

     

    馴化

    犬が反応を示す刺激に対して、繰り返し与えて慣れさせる方法です。大きな音、初めて会う人、車に乗ることなど、新奇の刺激に不安になるような反応に対して行います。一般に、老齢動物よりも若齢動物の方が馴化しやすいとされています。馴化を応用した方法として、氾濫法と系統的脱感作があります。

     

    氾濫法(洪水法)

    動物が嫌悪的情緒反応を起こさなくなるまで、刺激を繰り返し与える方法です。若齢動物や恐れの程度が弱い場合に有効です。ただしこの方法にはリスクがあります。回避方法を覚えてしまう、逃れることができないため学習性無力感を起こす、馴化できずに些細な刺激にも過敏に反応するようになるなど、意味がないどころか却って悪化させてしまう恐れがあるのです。そのため、この方法を実施するときは訓練士や専門家に任せて、飼い主が安易に行わないようにしてください。

     

    学習性無力感とは・・・

    回避ができないストレス状況が長く続くことで、その状況から逃れようとする努力を放棄してしまう状態をいいます。

     

    系統的脱感作

    刺激を徐々に強くしていき、動物の反応を見ながら馴らしていく方法です。各段階で十分に馴化をさせる必要があり、馴化が不完全のままでは次の段階へ進むことはできません。成熟動物に有効で、多くは拮抗条件づけ(逆条件づけ)と併せて実施します。

     

     

    オペラント条件づけ

    特定の刺激によって良いこと(快刺激)が与えられるとその行動を頻繁に行うようになること、またはその逆で嫌なこと(嫌悪刺激)が起きればその行動の頻度は減ることをオペラント条件づけと呼びます。報酬で利用される強化因子として、食べ物、誉め言葉、愛撫、追いかけるなどの行為などがあり、反応と同時に報酬が行われます。刺激⇒反応(行動)⇒報酬、と続けて起こることに意味があります。

     

    【例】

    刺激反応(行動)報酬効果
    「お座り」というコマンド座るオヤツが貰える/リードの引っ張りから解放されるコマンドにより座るようになる(正の強化)
    嫌な人物が来る吠えるその人物がいなくなる(嫌悪的状況がなくなる)来客があると吠えるようになる(負の強化)
    おもちゃで遊ぶ無駄吠えをするおもちゃを取り上げる無駄吠えがなくなる(負の罰)

     

    オペラント条件付けには、正の強化、負の強化、正の罰、負の罰の4種類のパターンがあります。「正」は刺激の出現、「負」は刺激の消失、「強化」は行動頻度の増加、「罰(弱化)」は行動頻度の減少を意味します。これらの4パターンを理解することは、行動の強化や修正をするときに有効です。これらをうまく組み合わせて(主に正の強化と負の罰)、繰り返しトレーニングを実施します。

     

    正の強化(陽性強化)

    望ましい行動を増加させるために、快刺激である強化因子を提示(=報酬)し、ポジティブな結果に結び付ける方法です。ただし、望ましくない行動を強化してしまう可能性があるので注意が必要です。

     

    【例】

    • 「お座り」という命令から、座る行動と同時におやつがもらえると、「お座り」を命令するだけで座る行動が増える。

     

    負の強化(陰性強化)

    望ましい行動を増加させるために嫌悪刺激を解消する(=報酬)方法です。この方法を適切に行うために、行動の直後に嫌悪刺激を取り除くなどタイミングが重要になります。また、この方法を過度に行うとこの状況に馴れてしまい効果が薄れてしまうことに注意が必要です。正の強化と組み合わせることで、修正効果が高まるとされています。

     

    【例】

    • 「お座り」という命令で、座る行動と同時にリードの引っ張り(嫌悪刺激)から解放され、「お座り」で座る行動が増える。
    • 嫌な人物(嫌悪刺激)が来たため、吠えることで、嫌な人物を追い払うことができたことで、来客が来たら吠える行動が増える。

     

    正の罰

    望ましくない行動を減少させるために、嫌悪刺激を与えたり報酬を排除したりする方法です。この方法を行う際は、行動が起こった直後に嫌悪刺激を与えるタイミングと一定の強さが重要になります。

    飼い主(=上位)が低い声で叱ったり、叩いたり掴んだりするなどの体罰のような直接罰は、動物の攻撃性を悪化させてしまう可能性や、罰を与える人間を避けるようになってしまうことがあります。また、罰を与える人間がわからないようにする遠隔罰は、水鉄砲、サイレンなどを使って行い、犬よりも猫の方が有効とされています。

     

    正の罰は、場合によってはストレスや恐怖になり逆に問題行動が悪化する可能性があります。訓練士や専門家でないと扱うことが難しく、飼い主が行うのは絶対にやめましょう。

     

    負の罰

    望ましくない行動を減少させるために、快刺激(=報酬)を排除する方法です。ただし、過度に行うとかえってストレスを与えてしまい逆効果になる可能性があります。また、問題行動を起こした際に行う社会罰は、社会的動物の犬にとって仲間はずれにされたり構うのをやめたりすることで効果があります。正の強化と組み合わせることで、修正効果が高まるとされています。

     

    【例】

    • 甘噛みを無視することで、噛まれた反応(快刺激)がなくなり、甘噛み行動が減少する。

     

    罰を与える際には、次のようなことに注意をしましょう。

    • はじめから必要な強さで行うこと。弱くやってしまうなど中途半端に行うと、体罰耐性が起きて効果がなくなります。
    • 犬が恐縮した態度をとったらそれ以上はやらないこと
    • 犬の問題行動と同時に罰を与えるなど、適切なタイミングで行うこと

     

    消去バースト

    負の罰による一時的な問題行動の強化として、消去バーストという現象があります。この現象は、犬が学習(正の強化)した反応(行動)が突然強化されなくなった場合に、一時的に反応が頻繁に起こることを言います。反応は一時的なものなので、次第に減少して落ち着くといわれています。

     

    【例】

    • 吠えた際に構っていたが、吠えるのをやめさせるために構うのをやめたら、構ってほしいためにさらに吠えるようになった。
    • 食卓でおねだりをもらうことを覚えてしまったため、おねだりをやめさせそうと無視したら、さらに激しくおねだりをするようになった。

    ただ、飼い主がこの現象を知らない場合は、自身の対応に不安を覚えてしまうことになります。また、消去バーストの最中に飼い主が対応してしまうと、その行動を強化してしまうことがあるため注意が必要です。

     

     

    拮抗条件づけ(逆条件づけ)

    条件づけを利用した方法で、問題行動を好ましい行動に置き換える方法のことをいいます。系統的脱感作の方法と併用して、特定のものに恐れを示す動物で実施されることが多いです。例えば、留守番のときだけおやつを与え(拮抗条件づけ)、留守番の時間を徐々に長く(系統的脱感作)するという方法です。不安に感じている留守番をすれば嬉しいことがあると犬に捉えさせ、繰り返していくとそのうち犬が留守番をしても嫌悪に感じなくなってきます。

     

     

    遊びや模倣による方法

    飼い主とともにボールなどで遊ぶことは報酬であるとともに、犬の気持ちを集中させるという効果があります。系統的脱感作と併用すれば、遊びが薬の代わりとなり苦手なものが馴れやすくなる効果が大きいといわれています。また、模範となる年長動物と一緒に過ごすことで、その行動を見習って問題行動が減ることがあります。飼い主と親しくする人にも好意をもつようになるといわれていて、問題行動の矯正に利用できることがあります。

     

     

    行動修正法以外の治療方法

    解説してきた行動修正法でも解決できない場合は、薬物療法外科的療法を利用します。薬物療法は、怖がりなど薬物で効果がありそうなときに抗不安作用などの薬物やサプリメントを使用する方法です。また、去勢手術や避妊手術によってホルモン学的な行動を抑えたり、犬歯の切断などの外科的な方法をとる場合があります。ただ、薬物や手術をすれば問題行動が完全に治まるわけではなく、これらはあくまで行動修正法の補助的な方法になります。

     

    去勢・避妊手術についてのブログ記事はこちらからご覧ください。

    去勢・避妊手術って受けたほうがいい?

     

     

    さいごに

    犬の問題行動を治すには、飼い主の正しい理解と継続する根気が必要です。犬種による性質や個体による性格にもよりますが、適切な治療方法はそれぞれ異なります。何かお困りの問題行動があれば、当院までご相談ください。

     

     


    当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。

    しつけの基本について不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。

     

    21動物病院-おおたかの森-

    千葉県流山市おおたかの森北2-50-1 GRANDIS 1階

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    執筆:獣医師 一色

    監修:獣医師 院長 坂本