【解説】犬のケンネルコフ
2023/12/15
こんにちは
今回は犬伝染性気管・気管支炎、いわゆるケンネルコフについて解説します。
ケンネルコフとは
子犬に多い病気で、気管や気管支に炎症が起こることで咳が出ます。
幼若犬はブリーダーやペットショップで集合飼育されているため感染していることがあります。譲渡されると移動や、環境の変化などのストレスで免疫力が下がり、発症します。
原因は細菌、ウイルスの単一または混合感染です。
- Bordetella bronchiseptica
- 犬パラインフルエンザウイルス
- 犬adenoui型
- 犬呼吸器コロナウイルス
- マイコプラズマ
など。
感染経路は鼻汁、くしゃみなどの飛沫感染です。
ケンネルコフの症状は?
咳です。鼻汁や眼脂がでることもあります。
発症するタイミングは上述したように、飼育開始のタイミングに多い。
初期は乾いた咳が多い。
長期化すると、気管への分泌物により湿った咳になる。
もっと悪化すると、分泌物が詰まったり気管壁が厚くなることで呼吸促拍、呼吸困難になることもあります。
ケンネルコフの診断は?
ほとんどの場合は問診や身体検査のみで疑うことができます。
症状が重度な場合や長期化している場合は、X線検査や血液検査も行います。
ケンネルコフの治療は?
原因体を特定するには気管支洗浄液などが必要になり、臨床的には困難です。対症療法を主にし、二次感染予防や重症化予防のために抗菌薬を使っていきます。
- 抗菌薬
- 気管支拡張薬
- 去痰薬
- ネブライゼーション
- 鎮咳薬(乾性発咳のときのみ)
ほとんどの場合は1~2週間程度で治りますが、しばしば長期間治療がかかることもあります。
※ネブライゼーションとは、薬液を霧化して吸入させること。動物の場合じっと吸入してくれないので、半密室空間に閉じ込めて霧状の薬で部屋を満たし、吸入させる。
ケンネルコフの予防はできる?
感染後はストレスで免疫力が低下することで発症するので、ストレスをなるべく減らしましょう。
極端に暑い、寒い状況にしないなど。
また混合ワクチンにはケンネルコフの原因ウイルスの一部に対応している。譲渡後もしっかりと混合ワクチンを続けましょう。
- 犬パラインフルエンザウイルス
- 犬アデノウイルス2型
ただし他の原因体もいくつかあるため、完全に防ぐことはできない。またワクチンはそもそも全く感染しないようにするものではなく、感染しにくくする、重症化を抑えるものです。
ケンネルコフのまとめ
- ケンネルコフは伝染性の気管・気管支炎からくる咳
- 予後は良好だが、重症化することもあるのであまり様子を見ないこと。
- 混合ワクチンの接種をきちんと行いましょう。
ケンネルコフについて不明点やご相談がありましたら、当院までご連絡ください。