【解説】災害が発生!ペットを守るための備えはできていますか?
2025/04/30
流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。
流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森-です。
今回は ペットを守る災害への備え について解説します。
日頃からの災害に対する備え
いざというとき、ペットを守る準備はできていますか?
日本では地震、津波、豪雨など災害が多く発生しています。ある日突然起こる災害を乗り越えるためには、日頃からの備えが重要です。ペットを守ることができるのは飼い主です。飼い主が自身の安全を確保することが、ペットを守ることにつながります。
日頃からのペットに対する災害への備え
ペットの健康管理としつけの面からの備え
避難する場合、他の犬猫と接触する可能性があります。感染症を防ぐため、予防接種や駆虫薬での対策をしておきましょう。
また、かかりつけの動物病院が被災する場合があります。他の動物病院でも受診できるように、可能であれば徒歩圏内に数軒つながりをもっておきましょう。
1.犬の場合
- 狂犬病ワクチンや混合ワクチンの予防接種
- ノミ・ダニ、フィラリアなど外部寄生虫の駆除対策
- 避妊・去勢手術の実施
- シャンプーやトリミングで普段から清潔にしておく
- 決められた場所での排泄できるようにしておく
- 人や他の動物に慣らす
- 「待て」「おすわり」「おいで」などのしつけをしておく
- ケージやキャリーバッグに慣らしておく
散歩のときに近所の飼い主とのつながりを持っておきましょう。また、時には散歩で普段は行かない場所に連れていき、いつもと違う環境でも不必要に吠えたりせず排泄ができるようにしておきましょう。
2.猫の場合
- 混合ワクチンの予防接種
- ノミ・ダニなど外部寄生虫の駆除対策
- 避妊・去勢手術の実施
- 決められた場所での排泄
- 人や他の動物に慣らす
- ケージやキャリーバッグに慣らしておく
- できるだけ室内で飼育
外環境では感染の機会が多くなることや、外飼いの場合は行方不明になる可能性があります。できるだけ室内で飼育することをお勧めします。
ペットが迷子になったときの備え
- 首輪やハーネスに迷子札(飼い主の連絡先)を装着
- マイクロチップの装着と登録
- 鑑札、狂犬病予防注射済票の装着(犬)
生後91日齢以上の犬は、狂犬病予防法に基づく登録が義務付けられており、鑑札や狂犬病予防注射済票の装着も義務付けられています。犬や猫は、動物愛護管理法に基づきマイクロチップの装着・登録の必要があります。
マイクロチップの情報は、動物病院や自治体の動物愛護センターや警察に設置してあるマイクロチップリーダーを使って確認できます。ただし、発災時にリーダーがなければ、飼い主の特定には時間がかかってしまいます。首輪やハーネスに連絡先などの情報があれば、リーダーが手元になくても飼い主を発見しやすくなります。
ペットの生活用品の備え
1.ペットの健康や命にかかわるもの(必需品)の備え
- フードと水(少なくとも5日分)、容器
- 薬や療法食
- ケージ、キャリーバッグ
- 予備の首輪や非伸縮性リード
- トイレ用品(ペットシーツ、使い慣れた猫砂、新聞紙、ポリ袋、トイレ用ケージなど)
いつも食べているフードを5~7日分は準備しておきましょう。災害時はフードがすぐ入手できるとは限らないので、可能であれば1か月分以上ストックしておいた方がよいでしょう。ローリングストックして、賞味期限の古いものから消費していけば無駄になりにくいです。
ケージは、移動用の小さいサイズと生活用の大きいサイズがあるとよいでしょう。ポリ袋は、ゴミ入れや防寒になるだけでなく給水用の水入れにもなります。

2.ペット情報の備え
- ペットの写真(携帯電話にも画像を保存しておく)
- ペットお薬手帳やペット防災手帳
写真は、ペットの毛色、模様、尾の形など特徴がわかるものを準備しましょう。飼い主と一緒に写っている写真もあるとよいでしょう。災害時にはペットの顔つきが変わったり、汚れが付着したりするなどで、飼い主が自身のペットを判別できなくなることがあるようです。
また、事前に迷子ポスターを作成しておくと便利です。災害時は停電になることがあり、迷子になって作りたくてもすぐにできない場合があります。あらかじめ用意しておくと、連絡先や写真など伝えたい内容が記載されているので、ポスター以外にも迷子捜索に役立ちます。これらの写真やポスター画像は、携帯電話にも入れておきましょう。
ワクチン接種状況、既往歴、健康状態、飼い主や緊急預け先の連絡先、かかりつけ動物病院をまとめてある手帳やメモなどを用意しておきましょう。臨時の受診に役立ちます。
3.ペットの生活用品の備え
- 毛布やタオル
- ウェットティッシュ
- ブラッシング用のブラシ
- おもちゃ
- 段ボールやガムテープ(ケージ補修や簡易ハウスなど)
- 洗濯ネット(猫)
日頃からの住まいに対する災害への備え
- 住居の耐震強度の確認
- 家具の固定、転倒・落下防止対策の確認
- 飼育スペースの確認(ケージの固定、転倒防止策、ガラス窓に注意)
- ふだんの退避場所(隠れ場所)の確認
お住まいの耐震強度と耐震対策を確認しておきましょう。耐震対策をしておかないと、発災時に家具が倒壊しガラスが床に散乱して、飼い主もペットもケガを負ってしまいます。また、恐怖におびえたペットが隠れてしまったり、逃げてしまったりと同行避難が難しくなる場合があります。室内や屋外のペットが過ごしている場所を見渡して、大きな災害が発生しても被害が軽減されるように対策を考えてみましょう。

避難のための日頃からの備え
- 避難所の選定(複数選択しておく)
- 避難所までの安全な避難経路とハザードマップなどで危険な場所の把握
- ペットの同行避難または同伴避難の受け入れ条件の確認
- 一時預け先(親族、友人、近所など)の確保
- 留守中の発災時の対処方法の検討(近所との協力体制)
- 家庭内での防災行動計画の作成
- ペット同行避難訓練への参加
- 特定犬や危険な動物の場合、預け先の検討
事前にペット受け入れ可能な避難所をいくつか調べておきましょう。避難所の候補が決まったら、犬の散歩のときに避難所までのルートを歩いてみましょう。避難用の荷物やケージを持って歩いてみるのも訓練になります。発災時は道の様子が変わっているかもしれませんが、道に慣れておくことはスムーズな同行避難につながります。
また、発災時にペットだけが自宅に残っていた場合はどうするか、飼い主同士の協力体制も検討しておきましょう。

災害が発生したとき
発災時の避難の方法
避難の方法として、主に在宅避難(自宅内避難)、避難所避難、マイカー避難の3つが挙げられます。
在宅避難(自宅内避難)
在宅避難と決めていても、あらかじめ必需品はまとめておくと慌てずにすみます。また、時々避難所を訪問して支援物資や情報を収集すること、飼い主のネットワークを活用することも孤立を避けるために重要です。
避難所避難
- 避難所でのルールは遵守する
- ペットの環境管理には、飼い主同士が助け合い協力する
避難所でペット用シェルターを利用する際は、ワクチン接種や寄生虫駆除が条件の場合があります。避難所ごとにルールが決められていますので遵守しましょう。犬猫の同行・同伴が可能な場所でも、動物が苦手な人がいるので配慮しましょう。逆に動物が好きな人にも注意が必要です。不用意に触ったり勝手にフードを与えてしまうことがあり、逃走や咬傷などトラブルの原因になることがあります。
人への支援物資が届くまでに時間がかかる場合があります。ペット用の支援物資はなおさら期待できないことがあります。入手できても、食べ慣れていないフードでお腹を壊してしまうこともあるので、いつも食べているフードを準備しておきましょう。
マイカー避難
- 温度管理に注意
- こまめに換気を
- 定期的な散歩
自宅や避難所での避難が難しい場合、マイカーでの避難を選択する場合があります。その場合でも、在宅避難と同様に時々避難所を訪問して支援物資や情報を収集するほか、飼い主のネットワークを活用しましょう。
車内では温度管理に注意し、熱中症や低体温症を防ぎましょう。車内にペットだけ残す場合は、車内の温度に注意し、十分な飲み水を用意しておき、安全を確認してから出かけましょう。こまめな換気も必要です。窓やドアを閉め切ったまま、排ガスが車内に逆流してしまうと命にかかわります。また、猫は逃げると車内でも捕まえるのが大変なため、常にケージに入れておくようにしましょう。
知人などにペットを預ける避難
ペットを連れて上記3つの避難が難しい場合、ペットを知人に預けることも検討しましょう。被害が少ない遠方の方が好ましいです。また、施設に預ける場合は、利用条件を確認してトラブル防止のため覚書など書面で残すようにしましょう。
災害時の体調面の管理
災害時のペットの体調ケア
散歩は欠かさずに行きましょう。気分転換にもなり、歩くことで健康維持ができます。慣れない環境ではストレスをためやすくなり、食欲不振や嘔吐、噛みつきなどの症状が多くなります。スキンシップをとることで体調の変化に気づきやすくなるだけでなく、ストレスを軽減することにもつながります。いつも以上に撫でたり抱きしめたりしましょう。手を湿らせて撫でることで、毛がとれてブラッシングの代わりにもなります。
災害時の飼い主の体調ケア
ペットの心配もあるとは思いますが、自分自身のケアを優先に考えましょう。飼い主が倒れたら、ペットはどうすることもできません。無理せずに、ペットの一時預かりを利用して一日でも疲れを取るなど、飼い主自身の健康管理をすることも避難生活を乗り切るために重要なことです。
まとめ
災害時には、人間だけでなくペットの健康管理も重要になります。いざというときに備えて、普段から基本的なしつけや病気予防をして、避難のための事前準備をしておくなど防災意識を高めていきましょう。
当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。
災害への備えについて不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。
21動物病院-おおたかの森-
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執筆:獣医師 一色
監修:獣医師 院長 坂本




