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    【解説】犬と猫の歯周病

    2023/11/27

    こんにちは

    今回は歯周病について解説していきます。

     

    歯周病とは

    歯周病は、歯肉炎と歯周炎のことを指します。

    歯肉炎…歯の周囲の歯肉(歯ぐき)の炎症

    歯周炎…歯肉だけでなく歯根周囲まで及ぶ炎症

     

    なんと2歳までの犬の80%、猫の70%が歯周病になっていると言われています。とても多いですよね。

    デンタルケアを全くしていないと1歳未満でも歯周病になっていることがあります。

    このように高齢の動物の病気でもないし、一部の動物だけの病気でもなく、ほとんどの子がかかる特別ではない病気なのです。

     

    歯周病は次のように進行していきます。

    1. 食べ物の汚れが歯垢(プラーク)として歯に付着する
    2. 歯垢がミネラルなどと混ざり歯石となる。
    3. 歯垢・歯石には非常に多くの細菌がいて、歯肉炎を起こす。
    4. 歯石はどんどん大きくなり、歯周ポケットは深く、歯肉は後退していく。
    5. 嫌気性菌という空気が嫌いな菌が歯周ポケットで増殖し、歯を支えている顎の骨(歯槽骨)にまで炎症を波及させていく。
    6. 歯槽骨が少しずつ融解し、歯が動揺したり抜けたりする。

     

    このように進行していくと歯肉だけでなく、歯槽骨まで溶けていくのです。そこまでいくとどれだけ治療しても元には戻りません。

    なぜこんなに歯周病が多いのか?

    一番大きな理由は、唾液にアミラーゼが含まれておらず、pHが高くアルカリ性であること。

    このため虫歯にはほとんどならない代わりに、歯垢が歯石に変化するのがとても早いのです。

    具体的には、人間が14日程度かかるのに対し、犬は3~5日猫は7日ほどです。

     

    他にも

    1. 生活環境が良くなったことで、寿命が延びた。
    2. 小型犬は歯と歯の隙間が狭く、汚れが付きやすい。

    なども理由のひとつかと思います。

     

    歯周病とは関係がないですが、人間とたくさんの違いがあります。

    歯の本数

    人間は28~32本に対し、犬は42本、猫は30本。

    歯の形

    人間は咀嚼面が平らでよく噛み砕けるようになっているが、犬や猫は裂肉歯といって肉を切り裂く歯がほとんど。

    エナメル質の厚み

    歯冠(歯の見えている部分)の表面を覆っているエナメル質が、人間の半分以下。これによって歯が欠けやすくなっています。

    歯周病の症状は?

    先ほど述べた歯が動揺したり抜けたりの他に

    • 根尖膿瘍:歯根部に膿が溜まる
    • 外歯瘻:根尖膿瘍により皮膚までつながる管(瘻管)ができて、皮膚の下から膿が出てくる。
    • 内歯瘻:根尖膿瘍の膿が口の中からでてくる。
    • 口腔鼻腔瘻:歯根部が鼻腔に繋がり、歯根部の膿が鼻から出てくる。犬歯でよく起こる。
    • 顎骨折:歯槽骨が溶けることで顎骨が部分的に薄くなり、骨折する。下顎で起こる。

    また大量の細菌を常に体の中に取り込み続けるので、肝疾患腎疾患心疾患に関連していると言われている。

    歯周病の治療は?

    歯石は歯ブラシでは取れなくなるので、全身麻酔下での歯石除去や抜歯が必要になります。

    歯石除去といっても実際には、見えている歯石の除去だけでなく、傷んだ歯肉の除去や歯根部の清掃、歯石除去後につく歯の表面の細かい傷を研磨するなど、”歯石を取るだけ”ではありません

     

    全身麻酔をかけないと、一番大事な歯根部の処置や研磨もさせてくれないし、何より動物にひどくストレスがかかるので、麻酔は必須となっています。

     

    また抜歯はイヤと思われる方も多いですが、上述した通り、犬・猫の歯はほとんどが裂肉歯であり、咀嚼するための歯ではありません。なのですでに小さくなっているドッグフードやキャットフードを与えている限り、全ての歯がなくたって生活の質に支障はないのです。

    治療後のケアもとても大事

    歯がキレイになって悪いところがなくなって安心!ではありません。その後も歯磨きなどのデンタルケアを続けていかないとまた同じ状況に陥ってしまいます。

     

    デンタルグッズは種々様々ありますが、やはり一番いいのは歯ブラシです。ブラシであれば歯周ポケットにも十分届くので、汚れも取りやすいし、歯周ポケットで悪さをする嫌気性菌に空気を当てることで増殖を減らせる効果もあります。

     

    デンタルケアのコツはいくつかあります。

    ご褒美(おやつ)を使うこと。

    歯磨きの後に何か食べさせるのが嫌な気持ちはわかります。しかし何もしてなければ同じですし、歯周ポケットに空気を入れることも大事なので、効果がなくなるわけではありません。また動物はナゼ歯磨きをしなければいけないか理解できないので、デンタルケア=良いことが待っている、と良い印象をつけることが継続する上では大事なのです。

    ステップを踏んで徐々に慣れさせること。

    飼い主様にお話を聞いていると、ヨシ!と思っていきなり歯ブラシで頑張ろうとする方がいます。いきなり訳も分からず口の中にブラシを入れられればびっくりして、もう二度とやらせてくれなくなります。

     

    練習はオスワリ、マテをさせてから始めましょう。

     

    1. まずはお口の周りを触る練習から。お口の周りを触ったらオヤツを何度も繰り返していきます。
    2. お口周りが大丈夫になったら、唇をめくってみます。
    3. それも大丈夫になったら歯ぐきに指でタッチ。
    4. タッチできる範囲を広げてきます。
    5. 指で触れるようになったらやっと歯ブラシ。これも最初は歯ブラシを見せると同時にオヤツを与えて、歯ブラシそのものに良い印象をつけます。
    6. 歯ブラシをみると寄ってくるようになったら、先ほどと同じように歯に歯ブラシを当てる。当てるだけ。
    7. 当てる時間を徐々に伸ばして、平気になったら歯ブラシを動かし始めます。これも短時間から。

    このようにほんとに少しずつ、練習→オヤツ→練習→オヤツを繰り返して慣らしていきましょう。

    嫌な思いをさせる前に止める

    嫌だと主張されてから止めるのではなく、主張される前にやめましょう。言い方を変えると長時間の練習やデンタルケアはしないこと、前のステップができていないのに次に進まないこと。

     

    どうしても歯ブラシはムリ…

    そんな方は歯ブラシにこだわらず、できることをやっていきましょう。

    • 指にガーゼを巻く
    • デンタルガム
    • 舐める・食べるだけのサプリメント

    歯磨きよりも効果は劣りますが、何もしていないよりは少しでも継続してデンタルケアすることが大事です。

    まとめ

    • 歯周病はありふれた病気。若くてもなる。
    • 歯周病は進行すると元には戻らなくなる。
    • 治療は必ず全身麻酔下で、歯石除去や抜歯。
    • 予防・進行抑制はデンタルケア。
    • デンタルケアはご褒美をつかい、ステップを踏んで少しずつ慣らすこと。

     

    歯周病について不明点やご相談がありましたら、当院までご連絡ください。