【解説】ミミヒゼンダニ症(ミミダニ)について
2023/11/13
今回はミミヒゼンダニ症、いわゆるミミダニについて解説します。
ミミダニって?
動物の外耳道(耳の入り口~鼓膜まで)の表面に寄生する小さなダニです。
ミミダニは通称で、正式名称はミミヒゼンダニOtodectes cynotisといいます。
外耳道に棲みついたミミダニは、皮膚表面の垢や組織液などを食べて生活し、卵を産み、繁殖します。
ミミダニの虫体や移動することが刺激となり、外耳炎を誘発します。
またミミダニは、外耳炎をそれ単独で引き起こす主因なので、除去すれば外耳炎は治療できます。外耳炎についてはまた後日解説予定です。
ミミダニの感染経路
接触または環境中から感染します。しかしながら、ほとんどが寄生された猫との接触による感染といわれています。したがって、完全室内外の猫では感染リスクは非常に低くなっています。
一方で外に出る猫はいつでも感染するリスクがあるので、予防が必須となります。
ミミヒゼンダニ症の症状
コーヒー粕(かす)のような真っ黒なパサパサした耳垢が特徴的です。ダニの死骸や排泄物、耳垢が混じりこのようになります。
また強い痒みが出ることが多い。
耳垢や痒みは片耳のこともあれば、両耳のことも。同居動物がいれば、他の子に感染している可能性も高く、同じ症状を呈します。
ミミヒゼンダニ症の検査
耳垢や耳道洗浄液を顕微鏡でチェックすると、ミミヒゼンダニの虫体や卵が認められます。
ミミヒゼンダニ症の治療・予防
駆虫薬を使用します。
皮膚につけるタイプ(スポットオン製剤)、飲み薬、注射などがあります。
スポットオン製剤はメーカーがミミヒゼンダニに有効だと公称しているものを優先的に使用していきます。ほとんどの症例に有効ですが、たまに使用してもなかなか駆虫しきれない症例が存在します。そういう症例には有効だとされている成分を含む別のスポットオン製剤を点耳することがあります(適応外使用)。
またスポットオン製剤を付けると皮膚炎を起こしてしまう症例には、飲み薬や注射を利用します。
スポットオン製剤は効果が持続するものが多く、1か月くらいでミミヒゼンダニの駆虫が完了することが多いですが、1か月では終わらない症例がいるのも確かです。
1回薬を付けたから大丈夫、ではなく獣医の指示通りしっかりと通院してダニの駆虫ができているか検査してもらいましょう。
屋外に出る子は感染リスクが高いので、ノミ・マダニ・フィラリアの対策も含めて予防薬を継続的に使いましょう。