ブログ|流山おおたかの森駅で動物病院をお探しの方は21動物病院 -おおたかの森-まで

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    【解説】皮膚だけじゃない。猫の肥満細胞腫について

    2026/07/04

    流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。

    流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森-です。

     

    今回は猫の肥満細胞腫について解説します。

    犬の肥満細胞腫についてはこちらの記事をご覧ください。

    【解説】急にしこりができた!犬の肥満細胞腫について

     

    肥満細胞腫とは

    肥満細胞腫とは、肥満細胞が腫瘍化したもので、基本的には悪性腫瘍として取り扱われます。

     

    肥満細胞とは…

    肥満細胞は免疫細胞の一種で、異物の侵入などによりヒスタミン等を分泌することで、周囲に炎症やアレルギー反応を起こす細胞です。太っている肥満とは関係ありません。

     

    肥満細胞が異常に増えてしまい、これらが何らかの刺激をうけて一気に脱顆粒することでヒスタミン、ロイコトリエン、セロトニン、ヘパリンなどが多量に分泌されます。そうすると消化管障害、血管拡張によるショック状態などの症状を引き起こすことがあります。

     

    また猫の肥満細胞腫は大きく分けて「皮膚型」と「内臓型」の2つに分類されます。皮膚型はさらに「肥満細胞型」と「異形型(非定型)」に、肥満細胞型はさらに「高分化型」と「未分化型」に分類されます。内臓型は「脾臓型」と「消化管型」に分類されます。最も多いのは皮膚型肥満細胞腫の肥満細胞型の高分化型です。

    皮膚型肥満細胞腫

    皮膚型は良性腫瘍のような挙動をすることが多く、摘出すれば問題ないことが多いです。ただし内臓型と併発していたり、未分化型であれば転移の可能性はあるため注意が必要です。

     

    内臓型肥満細胞腫

    皮膚型よりも予後が悪いとされています。また皮膚型と同時に発生することがあります。

    脾臓型では脾臓に病変が作られますが、実際には肝臓、内臓リンパ節、骨髄、肺に病変を作ることもあります。

    消化管型では小腸に病変が作られることが最も多いです。予後は脾臓型よりも更に悪く、発見時には転移していることも少なくありません。

     

    肥満細胞腫の症状

    皮膚型であれば、皮膚に単発もしくは多発する”しこり”が認められます。しこりの見た目は様々ですが、多くがやや硬く、無毛で、数mm~2cm程度とされています。一般的には皮膚以外には何も症状は認められません。

     

    内臓型も皮膚型も、場合により体重減少、食欲不振、悪心、嘔吐などの症状がでることもあります。脱顆粒が重度だと消化管潰瘍、出血、低血圧によるショックなどがでることもあります。

     

    肥満細胞腫の検査・診断

    身体検査

    皮膚にしこりがないか、体表リンパ節の腫脹がないか確認します。またしこりを刺激した後に赤くなる”ダリエ徴候”がないかも確認します。肥満細胞腫はその見た目だけで診断をつけることはできません。

     

    血液検査

    手術に備え内臓の機能に問題がないか確認するほかに、肥満細胞血症になっていないかを確認します。

     

    画像検査

    胸部・腹部のX線検査、超音波検査を行い、転移像が認められないか確認します。

     

    細胞診

    しこりや疑わしい臓器、リンパ節を針吸引し、細胞を採って顕微鏡で確認します。ここで診断がつくことが多いです。

    下の画像のような細かい顆粒を含む腫瘍細胞が採取されます。ただし無顆粒のこともあるので顆粒の有無のみで確定はできません。

     

    針を刺すことで肥満細胞腫が脱顆粒し、様々な障害を引き起こす可能性があります。そのため既に肥満細胞腫が疑われている場合は前もって抗ヒスタミン剤を使用してから検査することもあります。

     

     

    病理組織診

    手術にて摘出した病変部を病理組織診断することで、悪性度の程度や切除しきれているかどうかを確認します。

     

    犬の肥満細胞腫のようなグレード分類は、猫の肥満細胞腫では確立されたものがありません。核分裂の頻度が悪性度に関与するとされています。

     

    遺伝子検査

    肥満細胞腫はc-kit遺伝子という遺伝子に変異がでることがあります。もし悪性かつc-kit遺伝子変異があった場合は分子標的薬の適応となるので、場合によりこの検査を行います。

     

    肥満細胞腫の治療

    外科療法、放射線療法、内科療法がありますが、第一選択は外科療法(手術)となります。

    外科療法

    皮膚型では、腫瘍の摘出となります。このとき腫瘍よりも広めに(サージカルマージン)摘出します。犬では2~3cmのマージンをとったほうが良いとされていますが、猫では推奨されたマージンはありません。手術で取り切れれば、それ以上の治療の必要がないケースが殆どです。

    脾臓型では腫瘍が浸潤している脾臓を摘出します。こちらも他の臓器への転移がなければ長期間の生存が期待できます。

     

    消化管型でも病変部位の摘出を行いますが、既に転移していることも多く、摘出しても生存期間は短いとされています。

     

    放射線療法

    皮膚型肥満細胞腫に対する治療が報告されていますが、あまり一般的な治療ではありません。当院では実施できないため、希望される場合は対応可能な病院を紹介します。

     

    内科療法

    外科療法や放射線療法と組み合わせて使用するのが基本となっています。また病変が多すぎて摘出しきれない、放射線照射ができない、再発・転移があるときに行うこともあります。

    抗がん剤、分子標的薬、ステロイド剤を単独もしくは併用します。分子標的薬は上述したc-kit遺伝子変異があればより効果がでやすいです。

     

    肥満細胞腫の予後

    皮膚型であれば手術で取り切れれば経過は良好といえます。ただ別の場所に新たに発生したり、内臓型を併発していることもあるので注意は必要です。

     

    脾臓型も腫瘍が脾臓に限定されており、脾臓摘出を行えば経過は良好なことが多いです。

     

    消化管型は残念ながら長期的に生存できる可能性は低くなってしまいます。手術するか緩和ケアにしていくかを獣医師と話し合いましょう。

     


    当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。

    猫の肥満細胞腫について不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。

     

    21動物病院-おおたかの森-

    千葉県流山市おおたかの森北2-50-1 GRANDIS 1階

    TEL: 04-7157-2105

    Web予約: https://wonder-cloud.jp/hospitals/21ah_nagareyama/reservationsonder

    LINE: @092jvjfm

     

    執筆:獣医師 院長 坂本