【解説】犬・猫への投薬ができない!こんな方法はいかが?
2025/01/09
流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。
流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森- 院長の坂本です。
動物病院でお薬が処方された。でもお家で飲ませられなかった…なんてことがよくあります。
そんなときにどうやって投薬するか。様々な方法がありますので解説します。
前提としてお薬によって食前、食後、食間などの投薬タイミングが決まっていたり、分割してはいけなかったりと制限がありますのでご注意ください。
お口を開けて喉に直接投げ入れる
どんな錠剤でも可能です。剤形を変えずに済むため一番汎用性があります。
いきなりお薬でやると嫌な思い出になってしまうので、お薬の代わりにフードやオヤツを使い、何度か練習しましょう。また健康なときから訓練を繰り返すといざというとき投薬しやすくなります。
- 片手で頭を手のひらで包むようにも持ち、人差し指と親指で上顎を掴みます(犬は犬歯の後ろあたり、猫は頬骨あたりを掴む)。
- もう一方の手の人差し指と親指でお薬を持ちます。
- 中指で下顎の切歯(前歯)を押し下げ、口を開けます。
- 喉の奥にお薬を入れます。
- 入れたあとは口を閉じさせて、喉のあたりを何度かさすったり、鼻に息を吹きかけると飲み込みやすくなります。
また投薬後は水を飲ませてあげましょう。お薬が食道に張り付くことがあります。
ご飯やオヤツに包む
一番ベーシックなやり方です。
フードをふやかし、指で潰します。潰したフードは粘土状になっているので、これでお薬を隠します。
投薬補助用のオヤツもあります(ちゅーるポケット、ピルアシストなど)。
食事制限がなければフードの代わりに動物用のオヤツを使っても大丈夫です。他によく使うものとして茹でたササミ、サツマイモなども。
ポイントとしては、お薬を隠したものだけでなく、お薬が入っていないものも用意すること。
例えば、手から与える場合は、1つ目はただのフード、2つ目もただのフード、3つ目はお薬入りフード、4つ目もただのフード、などです。毎回1つしかもらえず、その1つにお薬が入っていることがバレるともう次からは食べてくれません。
フードを与えてお腹いっぱいになってから与えるより、お腹が空いているとき(フードを与える直前)だとより効果的です。
上述した口を開けさせて投薬する際もお薬そのままよりフードやオヤツで隠してあるほうが食べやすくなります。ただし包み隠すので飲ませるモノのサイズは大きくなります。
空カプセルにいれる
苦みがあり飲ませにくい、匂いでお薬がバレてしまう等の場合は空カプセルが便利です。
錠剤が大きく入らない場合、分割しても問題ないお薬ならば分割し、それぞれ1つずつカプセルに入れましょう。
カプセルにいれたままご飯に混ぜれば食べてくれることもあれば、口を開けさせて投薬する必要があることも。
水に溶かして飲ませる
粉剤や潰しても問題ない錠剤であれば可能です。
ただし錠剤やカプセルの中には分割・潰すと効果が落ちるものや、投薬する飼い主に影響が出るものなどが多いので、錠剤・カプセルではあまりおすすめしません。
また苦みがあるお薬も多く、潰して粉にすると余計に苦みが広がり、投薬に苦労することがあります。
- 粉剤や潰して粉になったお薬は少量の水(0.5~1.0 mL)で溶かしシリンジに吸います。
- 片手で頭を手のひらで包むようにも持ち、人差し指と親指で上顎を掴みます。
- シリンジの先端を犬歯の後ろから口腔内に滑り込ませます。
- 喉の奥の方にゆっくりと投薬します。
溶かす水の量が多いと味も多少薄くなりますが、量が多くなり投薬が大変になります。少量にしましょう。
勢いよく投薬すると誤嚥することがあるので注意しましょう。また舌の先端~真ん中あたりでは味を感じやすいのでしっかり奥の方にいれましょう。
番外編:違うお薬を使う
動物病院に相談が必要になりますが、人体用薬ではなく動物用薬に切り替えるという方法もあります。
獣医療ではよく人体用薬を使用します。これは単に同じ種類の動物用薬がなかったり、動物用薬が高価だったりするためです。
動物用薬はフレーバー錠(匂い・味付きのもの)だったり、チュアブル錠(噛むことを前提につくってあるもの)だったり投薬しさすさにフォーカスを当てたものが多いです。動物病院に同じ種類の動物用薬がないか確認してみるのも一つの選択肢でしょう。
投薬方法について不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。
当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。
担当:院長 獣医師 坂本