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    【解説】ストルバイト?シュウ酸カルシウム?犬と猫の尿路結石症について

    2024/05/13

    流山市、柏市、野田市のみなさんこんにちは。

    流山市おおたかの森にある、21動物病院-おおたかの森- 院長の坂本です。

     

    当院ではエビデンスを元に検査・診断・治療を行っています。

     

    今回は犬と猫の尿石症(尿路結石)について解説します。

     

    尿石症とは

    尿石症とは、尿に含まれるミネラルが結晶化・結石化して、腎臓・尿管・膀胱・尿道に障害を引き起こす疾患を指します。

     

    犬・猫で多い結石は以下のものがあります。

     

    • ストルバイト(リン酸マグネシウムアンモニウム)
    • シュウ酸カルシウム
    • 尿酸塩
    • シスチン

     

    ストルバイトとシュウ酸カルシウムを含む結晶・結石が、尿石症の犬・猫の90%以上を占めます。したがって、尿石症と診断されたらほとんどがこの2つのどちらか、と判断されることが多い。

     

    赤矢印がストルバイト結晶。小さな丸い構造物は赤血球。

     

    結晶と結石の違いって何?

    結晶は顕微鏡でしか見つけられない程度の小さなもの。肉眼では尿がキラキラ光っていると発見されることもある。X線画像には写らない。

     

    結石はその名の通り石のようなもので、肉眼でも十分に確認される。3~5mm以上の大きさであればX線画像に写る(結石の種類によっては写らないこともあります)。

     

    基本的には結晶が少しずつ大きくなり結石に育っていきます。しかし実際には検査すると、結石はあるが結晶は認められない、逆に結晶は多数あるのに結石といえるものはない、という状況が多々あります。

     

    尿石症の症状は?

    結石の大きさ、発生部位、閉塞の程度などによって症状は変わってきます。

     

    尿の生成は、腎臓→尿管→膀胱→尿道→排泄といった順に流れていくため、途中で詰まる(閉塞)と尿の行き場がなくなり、腎臓に多大な負担がかかる。特に管状になっている尿管や尿道に結石が詰まりやすく、急性腎障害の原因となりうる。

     

    腎結石

    無症状のことが多く、健康診断などで偶発的に見つかることも多い。しばしば血尿となる。

     

    尿管結石

    不完全閉塞では無症状のことが多い。

    片側の尿管閉塞では無症状か、軽度・一過性の尿毒症症状(元気・食欲低下、悪心・嘔吐など)。

    両側の尿管閉塞では急性腎不全による重度の尿毒症症状となり、命の危険性がある。

     

    膀胱結石

    無症状のこともあるが、膀胱炎症状が出ることが多い。頻尿、血尿、不適切な排尿など。

     

    尿道結石

    不完全閉塞では頻尿、血尿、有痛性排尿などを呈する。尿は出したいが、結石により尿道が狭くなっているため出しにくい。

    完全閉塞では排尿困難となり、努力性排尿、急性腎障害による尿毒症症状がでる。

     

    オスのほうが尿道は長く細いため、犬・猫ともにオスで発生することが多い。メスの尿道は短く太いため発生は稀。

     

     

    尿路結石が発生する要因とは

    多くの要因が絡み合い、結石が発生します。

     

    尿中のミネラル濃度が高い

    食餌の影響、代謝異常、門脈体循環シャントなど様々理由で尿中のミネラル濃度が高くなることがあります。材料となるミネラルが多いと、結晶・結石が形成されやすくなります。

     

    尿の貯留時間が長い

    飲水量が少ない、トイレをしたくても我慢してしまうなどの環境、膀胱アトニーなど膀胱が収縮できなるくなる病気では、膀胱に尿が存在する時間が長くなり、結晶化しやすくなります。

     

    尿pH

    食餌の影響、細菌感染、薬剤、体質などで尿のpH(アルカリ性や酸性)は変化します。

    ストルバイトは尿pHが高い、つまりアルカリ性に傾いていると析出しやすくなります。

    シュウ酸カルシウムはどのpHでも析出しますが、低くなりすぎる(酸性に傾きすぎる)と析出しやすくなります。

     

    結晶を作るための核が存在する

    結晶は何も無いところにはできにくく、核となるモノがあるとそれにくっつくように析出します。核となるものには細菌などがあります。

     

    尿中の血漿阻害因子の濃度低下

    シュウ酸カルシウムに対するマグネシウムなど

     

    一部の薬剤

    一部の抗生剤、尿路造影剤などが当てはまります。

     

    尿石症の診断方法は?

    診断のためには単一ではなく複数の検査を行います。上述したように結石の発症場所は様々で、また結晶があっても結石がなかったり、結石があっても結晶が見つからなかったりすることがあります。

     

    • 問診・身体検査
    • 尿検査
      • 尿検査では結晶は見つけられても結石は見つけられません。細菌感染や尿pHを確認できます。結石はあるが結晶が確認できない場合は尿pHなどから結石を推測します。
    • 超音波検査
      • 超音波検査は結晶・結石ともに見つけられますが、数や大きさの把握が不得意です。また尿道の検査は不得意です。
    • X線画像検査
      • X線検査は数mm以上の結石は見つけられますが、結晶は見つけられません。数や大きさの把握が得意です。
    • 血液検査
      • 血液検査は高カルシウム血症や体循環門脈シャントなど原因疾患がないかスクリーニングします。

     

    尿石症の治療法は?

    症状の有無、結石の種類、閉塞の有無によって治療法が異なります。

     

    無症状もしくは軽度の場合、ストルバイト結石など溶解する結石の場合

    • (細菌感染があれば)抗生剤
    • フードの変更
    • サプリメント
    • 飲水量の増加、皮下点滴など

     

    尿管・尿道に結石が閉塞している場合、頻発に再発する場合

    外科療法が必要になります。

    • 結石摘出術
    • (尿道結石)尿道カテーテルの留置
    • 尿道造ろう術、腎瘻チューブ設置など

     

    犬・猫の尿管は非常に細く、繊細なため、尿管の手術を行える病院は限られます。当院でも手術は難しいため、手術が必要な場合は2次診療病院に紹介させていただきます。

     

     

    結石は溶ける?溶けない?

    ストルバイト結石はpHを下げることで溶解します。したがって、ストルバイト結石がある場合はフードの変更やサプリメントを使うことで手術しなくても治る可能性が高いです。

     

    一方でシュウ酸カルシウム結石は溶解しません。フードやサプリメントで増大・再発を防ぎつつ、結石摘出術をするほかありません。

     

    シュウ酸カルシウムはまだ発生する原因の詳細がはっきりしていないため、様々な再発防止策行っていても、再発してしまうことが少なくありません。

     

    尿石症の予防で大切なこと

    尿石症は非常に再発しやすい疾患です。一度治療して治ったあとも、継続した予防策が重要です。

    お家で出来る対策をいくつか記載するので、意識してみてください。

     

    飲水量・尿量の確保

    尿石症の原因の一つに尿中ミネラル濃度が高いことが挙げられます。それを下げるには尿をどんどん作ってもらうこと。

    • フードをふやかす。ウェットフードに変更する。
    • 水皿を色んな場所に設置する。水を頻繁に新鮮なものにする。
    • 冬は水を少し温める。

     

    飲水量の増やし方に関してはこちらの記事も御覧ください。

     

    フードの変更

    それぞれ結石の元となるミネラルの摂取量して減らすのもひとつの手です。フードを変えることで調節することができます。それと同時に尿pHもコントロールすることができます。

     

    フードは、できる限り動物病院で処方・販売している療法食にしましょう。こういった療法食はちゃんと研究され、データなどエビデンス(根拠)があるものです。

     

    よく様々な事情で療法食をやめて、一般的に市販されている「結石に配慮した」フード、もしくは通常の総合栄養食に変更する方がいます。経験的にはやはり療法食を続けている方のほうが再発が少ないと感じるので、病院で出た療法食を継続することをおすすめします。

     

    トイレを我慢させすぎない

    尿の貯留時間が長いことも結石発生のひとつの理由です。

    特に猫はトイレにこだわりがある場合が多いです。トイレの滞在時間が長いほうがトイレを気に入っている可能性が高い。トイレの数、大きさ、形、砂など見直しましょう。

    猫のトイレに関してはこちらの記事も御覧ください。

     

     

    尿石症について不明点やご相談があれば、当院までお電話もしくはLINEにてお問い合わせください。